サイトアイコン ECMJ

チョウチンアンコウ。6【no.1121】

(前回はこちら

 僕の初めての講演の初めての質疑応答で最初に手を上げた方。それが片岡さんだった―――。「いま、西田さんがお話ししたことって、事例とか、あるんですか?」。そんな質問だったと思う。

 セミナー終了後の懇親会の時間、最初に僕に話しかけてきてくれたのも片岡さんだった。岩本さんが片岡さんを呼んでくれたのだ。

「片岡さん、西田くんに今度※▲◎×$でも話してもらおうと思うんだけど、どうかな?」

「面白いんじゃないですかね」

 岩本さんと片岡さんは、僕に他の講演の機会をくれようとしているようだった。それは、なんとなく話の内容とか雰囲気からわかった。「じゃあ西田くん、※▲◎×$の人から連絡してもらうから」。「※▲◎×$」の部分は最後まで聞き取れなかった。ビーピーうんたらかんたら、と言っていたのはわかったのだけれども。

 木瀬さんと谷井さんが組んでくれた、僕の生まれて初めての講演。コンサルタントと名乗っての初めての講演は盛況のうちに終わった。いま思うと少し怖いことなのだが、この講演に参加してくれていた40名ほどの聴講者のうち、8割以上の人間は岩本さんが声をかけた人達だった。岩本さんが普段から懇意にしている、岩本ファミリーの方々だ。

 この講演会は、いわば岩本ファミリーによる、僕の品評会のようなものだったわけだ。知らなくて良かったと本当に思う。

 「Eコマース『成功』のための9テーマ」という講演は、この日の他に、もう1日組まれていた。内容がそれなりに好評だったということで、もう一回、開催してみようということになったのだ。開催は翌月すぐ。こちらも木瀬さんと谷井さんが短い時間の中で動いてくれ、開催に至った。

 このときは、講演のために動いてくれるのが「当たり前」だとは思っていなかったけれど、「やってくれる」ものだと勝手に思い込んでいた部分がある。この2年後、自社でも講演を開催するようになって、大変さがわかった。どこの馬の骨ともわからない僕への、木瀬さんと谷井さんのバックアップには本当に感謝だ。

 二回目の講演の日はあいにくの天気に見舞われていた。台風だった。一回目と同じ会場に同じ時間、同じ内容での講演、しかも今回は僕単独での講演(一回目はもう一方登壇者がいた)、しかも台風だったため、参加者も前回に比べて少な目ではあった。開催をしてもらっている立場なのに、すごく贅沢な言い方だが。

 しかし、この日の講演には、僕のコンサルタント人生に大きな影響を与えてくれる大切な出会いがあったのだ。博多屋さんとの出会いだ。

 博多屋さんからは、前日に電話をいただいていた。まず、木瀬さんの方に問い合わせの電話があったようで、木瀬さんが僕の電話番号を博多屋さんに教えた。博多屋の村西社長が「明日、参加しますのでよろしくお願いします!」という電話をかけてきてくれたのだ。

 当日は台風。博多屋さんは福岡の会社。さすがに東京にくるのは難しいかなと思った。飛行機が大幅に遅れていたのだ。だが、博多屋さんの村西さんは時間ギリギリに会場にきてくれた。しかも、社員のみなさん、三人と一緒に。これが、僕の大切なクライアントのひとつ、博多屋さんとの出会いだ。

 なぜ博多屋さんは僕のことを知ったのか。なぜ東京までわざわざ講演を聞きにきてくれたのか。その理由も面白い。

 博多屋さんは日本道経会に属している。日本道経会では会員向けに定期的なFAX通信を配信しており、岩本さんがその執筆者のひとりを担当されているのだ。そこに、Eコマースのコンサルタントとして、僕の名前が出ていたらしい。

 つづきはこちら

 

モバイルバージョンを終了