著者:石田 麻琴

結局のところ、自己流を突き詰めるしかない。【no.1108】

 結局のところ、自己流を突き詰めるしかない。ECMJの取締役で、元ダイヤモンド社社長の岩佐さんがいっていたことだ。

 人は自分の悩みや課題を解決しようと、いろんな情報を集める。他人に質問や相談をすると、いろんな意見が返ってくる。そこに、有益な情報ややったら良さそうなことはたくさんあるかもしれないけれども、最後は自己流を突き詰めるしかない。情報やアドバイスを消化できるかも、「自己流」の一端であると思う。

 これまでECマーケティング人財育成という会社をスタートしてから、いろんな会社のネットショップに携わらせてもらってきた。美容、玩具、フルーツ、インテリア、照明、ベビー用品、雑貨、ジュエリー、メンズファッション、PCソフト、英会話教室、教育施設・・と、様々。コンサルティング契約、という形に限らない相談ベースの話も含めれば、もっとたくさん。

 コンサルタント、というクライアントのみなさんを俯瞰してみることができる立場になってわかったことだけれど、やっぱり結局は、自己流を突き詰めるしかない。自社流のネットショップ戦略をつくるしかないし、他社を気にする必要は一切ない。他社を気にすると基本的にポジティブにはならない。

 例えば、こんなことがある。良くある。

 A社はネットショップの取り組みに非常に熱心。ネットショップ専門の担当者を当てていて、コンサルタントとのミーティングの準備をしっかり行なう。宿題も滞りなく完了してくれる。B社もネットショップに熱心ではあるが、ネットショップの担当者は若干ルーズ。依頼した資料の作成を忘れたり、宿題も「できませんでした」と繰り越しになってしまったりすることも多い。

 ただ、A社よりも、B社の方が売上の絶対値、売上の伸びともに高いのだ。

 こういうことはしばしば起こる。ネットショップの取り組み方に関わらず、販売している商品の商品力であったり、仕入れの力であったり、会社自体のブランドであったり、担当者の理解度やスキル、言いたくはないが能力によっても、その成果は変わってくる。前提条件によって、市場規模は決まり、売上の絶対値や伸びがきまってくる。

 コンサルタントとしてこれらのことを俯瞰できる立場にあるのだが、そこで「バカッと売上あげたいんだったら、そもそもの商材をガラッと変えなきゃダメですよ」とは言わない。それを言うコンサルタントもいるだろうし、それを言ってほしい経営者もいるかもしれない。でも、私は言わない。もちろん、データ上、こっちの商品カテゴリの方に特化した方が良さそうですね、とかは言うよ。

 花屋さんに「パソコンのソフト売ったら儲かりますよ」と言うようなものだから。極論だけれども。そんなことを言ったって仕方がないと思う。

 人は必ず何かの理由を持って、仕事をしている。会社も必ず理由を持って、存在している。理念があり、背景があって、いまに行きついている。もしかしたら、「必要のないこだわり」なのかもしれない。その可能性もある。

 ただ、もしもそれが10年後20年後に結果が出る「こだわり」だったとしたら?「必要のない」なんて簡単に言えるだろうか。そして、原則とは一見すると「必要のない」ものに見えてしまうものなのだ。ちなみにこれも、岩佐さんがいっていたことの受け売りである。

 やっぱり結局のところ、自己流を突き詰めるしかない。問題は、いかにして自己流をつくり、研磨をしていくか。そして、研磨をし続けていくか。責任感のない言葉かもしれないけれども、「人事を尽くして天命を待つ」、なのかもしれない。

 おわり。