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「わさび漬け笹かまぼこ」をもっと売るためには?知恵を絞り続ける【no.1099】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「せっかくだから、工場見学のお客様にも手に取って欲しくない?」

 七海さんが言いました。

 そうなのです。今日、来店してくれているお客様の半分は工場見学でおにぎり水産にやってきたお客様なのです。もう半分は「笹かまおにぎり」の実店舗を目的にしてやってきてくれたお客様。そして、実店舗を目的にしてやってきてくれたお客様のほとんどの方が、「わさび漬け笹かまぼこ」を目当てにしてきてくれたお客様でした。

 半分のお客様が「わさび漬け笹かまぼこ」を手にしてレジにこられます。それに気づいた工場見学の流れのお客様が「みんなが買っている、アレ、何なの?」と聞いてくることもありました。七海さんの指摘したとおり、工場見学のお客様からの購入は少なかったのです。

 友花里さんは考えました。するとすぐにいいアイデアが浮かびました。

「七海、いいこと考えた。『わさび漬け笹かまぼこ』の棚に、『雑誌で紹介されました!』ってポップを付けておくのはどう?そうすれば、雑誌を知らないお客様にも『わさび漬け笹かまぼこ』に興味をもってもらうことができるんじゃないかなぁ」

「そうだね!確かに。本屋さんでよく本の紹介されてるやつ。ああいうことって実店舗ではやったことなかったね。『今週、ネットで300コ売れました!』って情報も出してもいいかもしれない」

 七海さんの意見に友花里さんがウンウンと頷いていると、それを聞いていた鬼切社長がヌーっと横から顔を出しました。

「それをやるなら、実際に掲載された雑誌の切り抜きもあった方がインパクトありそうだなぁ。私、いまから昼食に出かけてきますから、途中で本屋さんによって雑誌を買ってきましょう。雑誌の名前を教えてください」

 婦人物の雑誌なので、鬼切社長が買うとなると若干恥ずかしい感じになるのですが、鬼切社長は「いいからいいから、妻の雑誌を頼まれることもあるし」と言って、昼食に出ていきました―――。

 たった1時間のうちに、「わさび漬け笹かまぼこ」の商品棚を実店舗の入口近くに移動させ、雑誌に紹介されてからネットで300コ売れたというポップを作り、雑誌を購入して紹介記事の切り抜きも用意をしました。午後に来店したお客様に、これらの工夫の効果はてき面でした。

 入口を入ってくると、まず「わさび漬け笹かまぼこ」の陳列が目に留まります。この時点で「これだぁ~、あったあった」と手に取ってくれるお客様もいますし、「へぇ~、これ、雑誌で紹介されてたんだって。美味しいのかしら」と興味を持ってくれるお客様もいました。

 結果、この日1日だけで「わさび漬け笹かまぼこ」はなんと500コを売り上げることになりました。これには七海さんも友花里さんも鬼切社長も、おにぎり水産の全スタッフが驚きました。

 七海さんと友花里さんは、実店舗の閉店作業をしながら、この数日で起こったことを振り返っていました。

「『わさび漬け笹かまぼこ』がいきなり売れ出して、今日まで理由がわからなくて。週末になってお客様がたくさんきて、『何かが変だぞ!?』って思ったんだよね。そしたらお客様が雑誌に掲載されていたことを教えてくれて。もっとお客様に買ってもらうためにどうすればいいか、をみんなで考えて、お店のレイアウトも変えて。面白かったね、今日1日」

「麻間(あさま)さんが言うとおり、必ず結果があれば原因があるんだね。知らなかったけど、どこかで理由が起きてたんだ。それにしても、雑誌の力って、すごいのね・・」

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