著者:石田 麻琴

「バレなきゃOK」は通用しない「三方よし」の時代。最後は内部告発が起きる【no.1086】

 インターネットの時代は「三方よし」のビジネスでないと成功しない。インターネットの時代は、というか、ソーシャルメディアの時代は、かもしれません。

 近頃、インターネットを賑わしているふたつの話題がある。ひとつは、「PCデポ」の話。もうひとつは、「食べログ」の話。ご存じの方も多いと思います。これだけネットで叩かれていますから。

 「PCデポ」の炎上の発端は、とあるお爺ちゃんと契約していた毎月1万5千円の高額サポートが明るみに出たことから始まった。もしかしたら、情報弱者の老人からネット上には出ないと思っていたのかもしれないが、白日のもとに晒されることになった。こうなると、ネットの民の反応は早い。

 「PCデポ」が新聞に掲載している広告が不当であるとか、「PCデポ」で働いていた元スタッフの内部告発なども噴出して、いまだに炎上が終わっているとはいいがたい。この件は、しばらく埃が出続けるのではないだろうか。

 どちらかというと、「やっぱりそうだったのね」とおさまりが早そうなのが「食べログ」の炎上。「食べログ」での飲食店の評価が落ちていたことに気づいた経営者が、「食べログ」からの予約サービスを導入しなかったことと紐づけて、SNSで発信をした。同時多発的に「うちも同じ状態だ!」という話がでて、一気にネットで炎上した。

 ただ、こちらはおさまりが早そう。年間18万円のサポート費を支払っていたユーザーがいるわけでもないし、「まーネットのレビューなんて信用できないでしょ」となって終わり。金銭的な被害が直接的にユーザーにないですからね。もちろん飲食店経営者としてはたまったもんじゃないでしょうけれども。

 「PCデポ」はともかくとして、「食べログ」は完全にインターネットの会社のはずなのに、何でこんなことがわからなかったのかが不思議。飲食店の経営者が店舗の評価を気にしていないとでも思ったのだろうか。自社のWEBサイトを否定することになるから、さすがにそれはないか。

 不当に評価を操作したとするじゃないですか。定期的に評価を気にしていたら、異変に気づくじゃないですか。SNSで発信して、他社はどうか、仲間内で情報交換するじゃないですか。そうしたら、一夜にしてサービスが炎上しちゃうんです。ネットの会社なのに、知らなかったのかが不思議。

 以前、マクドナルドの問題や、すきやの問題のときも同じことを書いたのですが、インターネット時代のビジネスは「三方よし」でないと成功しません。「バレなきゃOK」は通用しなくなったんですね。特にソーシャルメディアが一般化したこの5年間で。

 となると、企業の取る方法はふたつしかない。ひとつは、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」のビジネスを展開していく。もうひとつは、「バレなきゃOK」のビジネスを展開しつつ、炎上リスクに対しての防御コストを支払う。でもやっぱり、商売の基本は「三方よし」なのではないかと思います。

 やっちゃいけないことをしているとまずバレます。それに気づいた世間のみなさんがネットに流します。それに気づいた外部の人間がネットに流します。それに気づいた内部の人間がネットで告発します。一気に拡散し、炎上します。従業員満足度が売上を左右する時代というのは、この点からも明らかなのかもしれません。

 やっちゃいけないことがバレないためには・・すべてをひとりでやるしかないですね。そうすれば「バレなきゃOK」でも生き続けられるのかもしれません。

 おわり。