メールマガジンというものは不思議なもので、セグメンテーションをすると効果が上がります。同じメール文面に人数を絞って出しているだけなのに、なぜか成果が変わるのです。お客様に届くメールは「1通」で一緒のはずなのに、本当に不思議なことです。
私が初めてそれに気づいたのはネットショップの運営ではなく、新卒採用でした。
2005年7月に前職の会社に入社させてもらって、11月にはなぜか会社の新卒主担当に任命されました。社長にアドバイスをもらいながら、まず、会社説明会をやろうと。当時、とある就職サイトと契約していましたので、そこでのメールマガジン機能を使って、会社説明会(たしか2回開催した)に学生さんを集めよう、という感じだったんですね。
当然ながら、できるだけたくさんの学生に集まってもらいたい。会社説明会は40人を定員にしていたのですが、できれば40人、埋まってほしい。そのためには、たくさんの学生さんに声をかけなければダメだ。そう思い、就職サイトのシステムに登録されている2万人ほどの学生さんに告知のメールをお送りしました。(もちろん、有料でした)
しかし、会社説明会に申し込んでくれたのは2名だけでした。2万分の2。つまり、0.001%。40人の学生さんを集めるためには、40万人の学生さんに告知をしなくてはいけない計算です。さすがにメールマガジンの予算的にもそれは無理でした。
社長に相談すると、「まこっちゃん、もっとセグメントしてメールを送るといいよ」というアドバイスがもらえました。2万人のアプローチを2,000人に絞る。それは、マーケティングを始めたばかりの自分には信じがたいことでした。やっぱり数が多ければ多いほど良いと思っていましたから。
しかし、社長の意見どおり2,000人に対して告知のメールを送ると、アラ不思議。5名の学生さんから申し込みをいただけたのです。さらに、会社説明会の参加申し込みだけではなく、告知メールを開封した学生さんも以前よりも多い数でした。しかも、いま思えば、メールの件名も内容も、特にセグメントした学生さんを対象にしたものではなかった気がするんですよね。
これぞセグメンテーションの不思議・・。2万人にメールを送るよりも、2,000人にメールを送る方が成果が高いってどういうことだ・・という疑問を抱きつつも、セグメンテーションでの告知メールを加速させていきました。
2万人に送っていた学生さんのリストを男女や志望業界、大学などを軸にいくつかのセグメンテーションに分ける。セグメンテーションひとつずつに対して、告知メールに含むキーワードを考える。「独立、起業」を軸にすることもあれば、「若い会社、女性が多い」を軸にすることもあるし、「恵比寿、インターネット」を軸にすることもありました。
そして、実際に学生さんのセグメンテーションとキーワードを掛け合わせて告知メールを配信して、その効果をデータで見る。自分が思ったとおりの反応が返ってくる場合もあるし、外すこともある。むしろ、外すことの方が多い。でも、データを見ると、メールの開封率は高かったりもする。そうすると、次の改善が見えてくる。
結果、この時の私は会社説明会を満員にすることができたわけなのですが、セグメンテーションのマーケティングについて学んだ最初の出来事ともなりました。
いまのデジタルマーケティングからすれば、当たり前っちゃ当たり前のことなんですけれども、改善のサイクルまで、きっちり「やり切れ」ているところって、どれくらいあるんでしょうか。正直、セグメンテーションって面倒ですからね。だからこそ、価値があるわけですが。
おわり。