ネットで売れるものと、リアルで売れるものは違います。このことに気付くことができるだけでも、ネットに本気で取り組む意味があるのではないかと思っています。
たとえば、実店舗をやっている会社さん。ネットで売れる商品と実店舗で売れる商品は異なります。たとえば、メーカー卸をやっている会社さん。BtoCのネットショップで売れる商品と、メーカー卸としてBtoBで売れる商品は異なります。このふたつの事例について、もう少し深く紹介していきたいと思います。
まずは、実店舗とネットショップの両方を運営している会社さんです。ネットショップではお菓子が非常に売れています。もともとは別の商材をメインで販売している実店舗&ネットショップですから、ネットショップでお菓子の売上が高いことは意外だったようです。
たとえお菓子へのお客様のリアクションが良かったとしても、もともとのメインになる商材へのこだわりがあるわけですから、最初は素直に受け入れることができません。「お菓子もいいけど、やっぱりこっちを頑張りたいね」という風になります。その気持ちはわかりますし、こだわりも「徹底」と捉えれば悪いことではありません。
ただ、大切なのはインターネットのBtoCという非常に広い市場の中で、お客様が選択してくれている商品が「お菓子」であるということです。この事実には素直に向き合わなくてはいけません。逆をいえば、メインの商材に関してはお客様にとって「他の選択肢」があるということになります。インターネットという市場で「自分たちが勝てる市場」は、必ずしも理想どおりにはいかないということです。
さて、もうひとつの会社さん。アパレルのメーカー卸をおこなっています。もともとは中国でアパレル商品を大量生産をして、国内の小売りに卸しているBtoBです。ただ、新しい販売チャネルとして、自社ブランドのネットショップを立ち上げBtoCに乗り出しました。
ネットショップ立ち上げ当初は、BtoBのお客様から反応を得ている商品をメインにしてEコマースサイトの構築をおこなっていきました。しかし、BtoCのお客様は思ったような購買をしてくれません。メーカー卸としての実績をベースに自社オリジナルの商品企画を提案していく中で、お客様からの支持を得たのは1,900円のパンプスでした。
こちらも正直にいうと、この会社さんがネットで売りたい商品ではありません。3,900円、4,900円のデザインからつくり込んだ商品を買ってもらいたいというのが本音です。ただこちらも、リアクションを素直に判断するならば、インターネットという市場の中でお客様にもっとも選ばれる商品は「1,900円のパンプス」だった、ということです。
リアルとネットはお客様の目が異なります。リアルは比較的、お客様が「そこにあるものの中から選んでくれる」傾向にありますが、ネットの場合は「気に入った商品がなければ、他ネットショップに流れていってしまう」のが普通です。ネットには商圏の概念はなく、地域大会ではなく全国大会の何万という商品から欲しいものを探しているわけです。
ネットで売れている商品は、ネットで競争力がある商品であるということが事実です。ネットで売上を上げていくためには自分たちの理想にこだわりすぎず、自分たちが「ネットならどこで勝てるのか」を実績から読み解き、ネットショップ自体の軸を変化させていくことが大切なのかもしれません。それがもしかしたら、今後のリアル戦略の突破口になる可能性もあります。
おわり。