著者:石田 麻琴

数ある競合の中から選ばれる「潜在的な集客力」をつくる【no.0975】

 先日、とある講演会に参加してきました。60分という短めの講演だったのですが、内容が濃く、少し体調が悪かったので参加するか悩んだのですが、足を運んだ甲斐がありました。

 様々な経営ノウハウ、運営ノウハウを話された中で印象に残ったのが「潜在的な選択理由をつくる」ということでした。講演された先生は「潜在的な集客力」という言葉で表現されていたと記憶しています。

 その方は都内を中心にスポーツジムを数店舗運営されています。スポーツジムの営業時間は競合他店に比べると長く、朝の7時から夜の23時まで。お客様に自社を選択してもらうため、できるだけ長く設定しているということでした。

 また、このスポーツジムの会員になると、全店舗の利用が可能になります。通常のスポーツジムだと、申込みをした店舗だけを使うことができて、他店の利用については追加料金になるのが普通です。しかし、このスポーツジムは一律の通常料金で全店舗の利用が可能、使い放題というわけです。

 ポイントはお客様に与える印象です。実際にお客様は、ある日は朝の7時からトレーニングを始め、またある日は夕方の17時、またある日は夜の21時というように、バラバラの時間にトレーニングをするわけではありません。現実に、ボリュームとしては20時頃からトレーニングを始める方が多いようです。そして、実際にはお客様は全店舗を利用するということはなく、1店舗が普通、多くて3-4店舗というのが現実のようです。

 しかし、お客様に「7時から23時まで使い放題です!」「全店舗利用可能です!」と謳うの、「潜在的な集客力」に繋がるということなんですね。実際のところ20時からしか利用しない、実際のところ1店舗利用しなくても、数ある競合の中からお客様が自社を選んでくれる理由になっていると。

 この考え方をネットショップに当てはめると、どのようなことが考えられるでしょうか?

 まず思いつくのは「保証」「無料修理」「電話・メールサポート」「返品交換可能」といったところでしょうか。「3年間の保証」「1年間の無料修理」「電話・メールでのサポート付き」「30日間の返品交換可能」などを謳うことによって、お客様が安心してサービスを利用することが可能になります。

 もちろん、ここでのポイントは「現実にはすべてのお客様が無料修理を利用するわけではない」ということです。(準備・心づもりはしておかなければいけませんが)。

 「営業時間」「商圏・地域」というように、実店舗のビジネスだからこそ可能な「潜在的な集客力」もあるとは思いますが、インターネットの世界で考えたとき自社の商材・サービスについての「潜在的な集客力=付加価値」は何になるのか。コンサルティングという自分のビジネスにおいても、非常に考えるきっかけになった講演会でした。

 ちなみにこのスポーツジム。パソコンを触ることができるカウンターや、スマホが充電できるコンセントも設置してあるということです。20代、30代のビジネスマンが多いということですから、助かるサービスです。昼休みにお弁当だけを食べにくるお客様もいるとか。

 また、マットを使っておこなうトレーニングがメインなので、スポーツジムの中では裸足になって動きます。なので、スポーツジムに持っていくのはTシャツと短パンだけ。もっとも重くてかさばるトレーニングシューズを持ち歩く必要がありません。ここはお客様にとっての大きなポイントなのではないかと思いました。

 おわり。