著者:石田 麻琴

お客様が「選ぶポイント」を改善することで、「勝てること」に繋げていく【no.0960】

 商売で生き残るためには、「できること」ではなく「勝てること」をやることが大切です。人間はナマケモノなので、どうしても「できること」ばかりを習慣的に続けようとしますが、自分にムチを打って「勝てること」に変え続ける勇気が大事です。

*「勝てること」をいかにして探すか

 「勝てること」は最初から見えるわけではありません。先輩に聞いてもわかりません。コンサルタントに聞いてもわかりません。お父さんに聞いてもわかりません。自分で探し続けるしかないからこそ、「勝てること」をやるのは大変なのでしょう。

 大変な割に、本当に努力は報われるのか、もし報われるならそれはいつになるのか、すらわかりません。だから、続けるのをやめてしまいます。

 自分たちの「勝てること」を考えるときのひとつのヒントかもしれません。大切なのは、「お客様がどのポイントで商品を購入するか否かを決断するか」ここを押さえることなのではないでしょうか。どんなニッチなことでも「選ぶポイント」を押さえていれば、限られたお客様にとっての一等星になることができます。逆に、「総合的に良い」というのは、どのお客様にとっても一等星にはなれていないことです。

 この「選ぶポイント」というのは人によって違うと思いますので、あくまで一個人としての私に限ったポイントです。実例を挙げます。

*私自身の「選ぶポイント」

 出張に行くとき、また旅行に行くとき、私は基本的に大浴場の無いホテルを選びません。知人が経営しているホテルがあるとか、知人がホテルを予約してくれるといった場合は別ですが、自分でホテルを予約する場合は必ず大浴場のあるホテルを選びます。もちろん、温泉だったら尚良しなのですが、とにかく広いお風呂で足を伸ばして、30分や1時間リラックスしたい。それが私にとっての大浴場の役割です。

 なので、大浴場の無いホテルは(あくまで私にとってですが)その時点で候補からは外れます。ホテルを選ぶとき、例えば「じゃらん」などの予約サイトを使っていますが、まず「宿泊候補地」を入れた後に、「大浴場アリ」のチェックボックスを入れる、もしくは「温泉(大浴場)」と検索して、宿泊候補のホテルを絞っているのです。私の場合、「選ぶポイント」は「大浴場」ということになります。他の施設、たとえば食堂や部屋の広さ、部屋風呂の広さ、などは「そこそこ」であれば良いのです。

 自分自身のことしかわからないので私の場合の話ですが、お客様の「選ぶポイント」こそ「勝てること」ということになります。「選ぶポイント=勝てること」以外の部分の改善に「意味はない」とは言えませんが、あくまで「選ぶポイント=勝てること」を考えた上での、細かい改善が重要なのではないでしょうか。

*お客様の「選ぶポイント」の探し方、見つけ方

 こうなると自社のサービスにとっての「選ぶポイント」の探し方、見つけ方というのが重要になってきます。もちろん「自分たちはこれでお客様に選んでもらいたいんだ!」と、思いで「選ぶポイント」を決めるのもアリだと思います。ただ、できれば客観的な意見を参考にしたいところ。つまり、「いま自社を選んでくれているお客様は、なぜ自社を選んでくれたのか」ここをしっかりとお客様から学ぶことが大切です。

 お金を払ってくれた理由はお客様自身が一番良く知っているはずです。選択してくれた理由はお客様自身が一番良く知っているはずです。当たり前のことなのですが、ほとんどの事業者が真剣に取り組んでいません。もし仮に「(同じように大浴場のある)○○ホテルが埋まっていたから、このホテルを予約したんです」と言われたら、もう一歩「選ぶポイント」を絞っていきましょう。「なぜ」を何度も突き詰めるのです。