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毎日ひとりひとつ、「変化を探し、吐きだす」ところから始めよう。【no.0914】

 「気づく力」をどうやって養えばいいのか、という話になりました。

 とあるITシステムの会社さんです。自社の社員のエンジニアを様々な企業に派遣しています。常駐型、出向形式で外に出ているエンジニアがほとんどです。ここ最近の傾向として、クライアントさんからの要求として、「コミュニケーション力」が上位にきているというのです。

 これまでは「スキル」が要件の上位にある時代が長く続きました。「javaが使える」「C言語が理解できる」「データベースを構築できる」など、クライアントさんが派遣されるスタッフに求められるのは、「作業者」としてのスキルでした。

 ただ、市場環境の変化とともに要求内容も変わります。「スキル」は標準化されます。新しいツールが出てきます。以前は特殊だったスキルでも、学生時代から学んでいる若者も増えました。エンジニア、という点では、20代にもたくさんの優秀な方がいるようです。ゲームやアプリの開発も流行っていますしね。

 そこで「コミュニケーション力」が求められるようになります。以前からその傾向にあることはわかっていても、いざ要求内容・契約条件としてクライアントさんから出されるのは突然です。20代、30代の若手ならまだしも、40代、50代のベテラン社員に、いかにして「コミュニケーション」を学んでもらえるか、大きな課題です。

 「コミュニケーション力」とは、「気づく力」でもあります。

隣のデスクに座る同僚の顔色を見て、「あれ、今日はちょっと体調が悪いのではないか」と感じることも大切。会議に出席していない同僚に気づき、「あれ、今日は○○さんお休みだったよね」と感じることも大切です。不思議なことですが、会議が終わるまで、会議に出席していない同僚に気づかないことさえあるようです。「コミュニケーション力」とは、「自分の『外側』を見る」ことでもあります。

 さて、この「気づく力」をどうやって養えばいいのか、という話です。

 明確な解があるわけでありません。「気づく力」を養うためのマニュアルがあるわけでもありません。「C言語」のようにはっきりと定義されているものであれば良いのですが、「気づく力」の捉え方は個々人によって異なります。人間の内面に関係する部分です。これまでの育ち方は生き方、親からの教育が影響している部分でもあります。また、「気づく力」がどれくらいあるのか、その能力値を数字で表現できません。成果としても測りにくいのが現実です。

 真っ暗闇を何の手がかりもないまま、ゴールも定まらないまま、とにかく前に進んでいくしかない、というような話です。

 今日から取り組んで、明日いきなり「気づく力」が得られるということはありえません。一歩一歩着実に、日々「小さなことに気づくように『工夫』」をしながら、少しずつ周りを見られるようにするしかありません。

 1日10分でも15分でも結構です。昨日から今日にかけて、「自分たちが気づいた変化」をひとりひとつ挙げる時間をつくるのはどうでしょうか。「桜のつぼみが大きくなった」でも「花粉がさらに舞っている気がする」でも結構です。仕事に関係していることなら尚よしですが、まずは「変化を探し、吐きだす」ところから慣れていくのが良いのではないかと思います。

 そして大切なのは「続ける」ことです。「継続する」ことで、より変化に対して敏感になっていきます。毎日ひとつ挙げるのですから、簡単ではありません。結果、変化に敏感にならざるをえなくなるわけです。

 おわり。

 

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