インターネットの登場によって顧客の時間の活用が変わり、マスマーケティングが通用しなくなってきている。
・・というのは、70年代、80年代と比較すると正しいと思うのですが、この5年程のマーケティングではむしろマスマーケティングが復活しているのでは、と考えました。
以前の私たち(私は1980年生まれ。19歳のときに初めて家にパソコンがきた)は、週明けにカウントダウンTVと巨人戦ナイターの話題をみんなと話す、みたいな生活をおくっていました。娯楽といえば、テレビや雑誌、マンガ。テレビは民法の5つのチャンネルくらいしか選択肢はありません。だから、みんなで同じものをみて、みんなで同じ話題をしていたんですね。
2000年前後にインターネットが一般家庭に普及するようになると、時間の使い方が変わりました。インターネットは自分の趣味嗜好をかなえる情報だけをずーっと追っていけるツールですから、それまでのようなマスが崩れ、ニッチな情報の旗がたくさん立つようになったんですね。なので、「同じ趣味の仲間うちではメチャクチャ有名な情報だけど、他の趣味の人たちには全く通じない」ということがおこり始めました。
インターネットでは半永久的にコンテンツの数が増えていき、テレビだってBS・CS放送の時代ですから20年前に比べたら選択肢がドッサリ増えたわけです。なので、マスよりもニッチの戦略だな、というのは正しいと思うのですが、今回のベッキーの件とか清原和博元選手の件とか宮崎謙介議員の件とかをみていると、マスのパワーは決して弱まっていなく、むしろ増大しているのだなと感じたのです。
それはなぜかと考えたのですが、やっぱり通信の発達、スマートフォンの影響が大きいのだなというありきたりの結論に落ち着きました。
20年前だったら、どれも昼のワイドショーで取り上げられるネタだと思うんですよ。というか、いまもテレビでは昼のワイドショーがメインで取り上げられているのだと思います。なので、20年前だったら、うちの母ちゃんの耳にしか入ってこなかったようなネタだと思うんです。
ただ、いまはインターネットがあってスマートフォンがある。さらにSNSもある。ベッキーの件とか清原和博元選手の件とか宮崎謙介議員の件もテレビではなくてインターネットで情報を知った人がほとんどでしょう。いつでもどこでも情報に触れることができるから、マスがグングーーンと増大してしまっているんですね。20年前と何が変わったかって、それはマスとニッチの関係性だけではなく、圧倒的な情報量だということなんですね。
ミクロな視点で考えれば、人間が圧倒的な情報量をさばいている中で、自分たちのネットショップ(でなくて情報メディアでも何でも良い)がどうすれば顧客の印象に残ることができるか。これがポイントになります。インターネットでは、顧客はトップページやブランド名から入ってくることは稀。ほとんどがコンテンツからWEBサイトに入ってきます。その最初の1ページ目でいかにお客様に「ん?」を感じてもらえるか。
「違い」「差別性」「専門性」といったものを打ち出すこともさることながら、ネットショップのどこでそれを伝えるかも重要になってくると思います。最初から全員に「ん?」と思ってもらえることはありませんから、「違い」を伝えるためのコンテンツを追加していきながら、1%1%の可能性を上げていくしかありません。
情報革命によって市場の山は縦に細長い山になりました。山頂は20年前よりもはるか上に伸びています。
おわり。