「越境EC」がEコマース業界のトレンドワードになっています。
「越境EC」とは、その名のとおり外国の人々に対してEコマースで商品を売るということ。海外の市場にアプローチしていこうという動きは、特に目新しいものではありません。過去には、楽天市場やYahoo!ショッピングが海外版のショッピングモールを立ち上げましたし(一部は終了、一部は継続)、タオバオやebayに出品しようという動きも5年以上前からあった動きです。
いま「越境EC」が注目されているのは、ひとつは日本のEコマース市場が中小ネットショップにとって以前より厳しくなっていること、もうひとつは海外販売のためのソリューションが整ってきていることが挙げられます。このふたつのタイミングが組み合わさり「越境EC」というトレンドが生まれているわけです。
しかし、未知の市場へのアプローチはハッピーに見えるものです。隣の芝生は青く見える、ということでしょうか。当然ながら、海外販売のためのネットショップを構築したとしても、いきなり海外から注文が増えるわけではありません。「越境EC」に希望を見出しているのは、どこか「ネットショップ」を立ち上げること自体に目を輝かせていた頃に似ています。ネットショップを立ち上げれば、全国各地から注文がくるという勘違いと同じです。
そもそも、海外販売のためのネットショップを立ち上げたとしても、そのネットショップはどうやって海外のお客様に知られるのか、というところです。ここに気づかずに海外Eコマースを始めてしまうのは早計ですし、ここを考えずにインターネットのビジネスをスタートさせてしまっては失敗が目に見えています。
外国の言葉も文化もわからない中で、ネットショップの存在をどうやって知ってもらうか。これが「インターネット広告を使えば何とかなるでしょ」と考えないことです。日本に何万、何十万というネットショップがあるのと同様に、海外には海外の事業者がいます。Eコマース未開の地にネットショップを立ち上げていくわけではないのです。
「越境EC=海外販売」を考える場合、まずは現状のネットショップの注文状況を確認してください。もし、いまのネットショップに「定期的に」海外からの注文が入っている場合は、海外販売の可能性があります。逆に、いまのネットショップに海外からの注文がたまにしかない、もしくは全くない場合は「越境EC」の可能性は現段階ではゼロだと判断をしてください。
なぜなら、現在のネットショップに海外からの注文がないのは商品が「探されていない」からです。海外から探されない商品を売っている可能性があります。また、探されるための努力が足りてない可能性もあります。もしかしたら探されたかもしれないが、ページがわかりづらく購入されなかった可能性もあります。いずれにしても、海外販売をするには「ネットショップ運営の努力が足りない」ということです。これでは「越境EC」を始めても、徒労に終わるでしょう。
現在のネットショップに「定期的に」海外からの注文がきている場合、その小さな穴をこじ開けることが「越境EC=海外展開」に繋がります。何も、一般的な「越境EC」の仕組みを整えることが「越境EC」に成功するためのコツではありません。現在海外からきている注文に対して「どんなお客様が、どうやって商品を調べ、どうやってネットショップにアクセスし、何のために商品を購入しているのか」を知り、「では同じニーズをもつ二人目のお客様にアプローチするには?」を考え、実行していくのです。
「越境EC=海外販売」のヒントはいつも手元にあります。
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