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「買いたい人」より「売りたい人」が多い時代を勝ち抜くためのヒント【no.0809】

 「買いたい人」よりも「売りたい人」が多い時代。現在のEコマース業界をひとことでいうとこれなのではないでしょうか。

 わかりやすいのがYahoo!ショッピングの例です。いまから2年前の2013年の秋。Yahoo!ショッピングは月額の出店費用とロイヤルティ(売上に対する課金)を無料化しました。いわゆる「eコマース革命」です。これによりネットショップを始めるためのハードルがグッと下がりました。

 当時、Yahoo!ショッピングに出店しているネットショップは約2万店舗でした。楽天市場の約4万店舗から大きく水をあけられている状態でした。しかし「eコマース革命」以降の2年間で、Yahoo!ショッピングの出店店舗数は約34万店舗になったと発表されています。

 ネットショップを運営していた私の実感値では、2009年の時点でEコマース業界の潮目が変わっています。「需要>供給」から「需要<供給」の時代への変化です。つまり、「買いたい人」より「売りたい人」が多い時代は2009年から始まっていたわけです。

 2013年のYahoo!ショッピングの無料化は、その「需要<供給」のバランスを大きく加速させたといえるでしょう。たとえネットショップの数が10倍になったとしても、お客様の数は10倍にはなりませんし、お客様の購入金額も10倍にはなりません。

 ネットショップの数は今後も増え続けていくことが予想されます。ネットショップ出店へのハードルは低くなっていますし、アウトソースの選択肢も増えています。HTMLを書かなくても見た目の良いネットショップをつくれるようになるでしょう。

 そして、Amazonの存在。現実問題として考えると、ネットショップの数が無限に増えていくことよりも、Amazonの巨大化の方が脅威なのではないでしょうか。システム力、サービス力ではAmazonには到底太刀打ちすることができません。

 とはいえ、企業のEコマースの可能性がゼロというわけでは決してありません。ネットショップの売上が上がっている中小企業はゴロゴロあります。ネットショップの数は増えていますが、Eコマースのマーケティングがきっちりできている会社はごくごく一部です。後発でも可能性があります。

 後発のEコマースで成功するか否かのポイントは、お客様の絞り込みでしょう。これはネットショップのコンセプト、ネットショップで取り扱う商品の選択の両方に関わってきます。特に後者の「商品力」は欠かせないキーワードです。これは実店舗や卸、メーカーの仕事でも全く同じ。

 Eコマースという市場の努力がリアルと同じ方向に向いてきているということでもあります。SEO対策はリスティング広告、アフィリエイトなど、ネットならではのマーケティング手法が一部の人しか知らない「裏ワザ」ではなく、標準化してきていることもあるのでしょう。いよいよネットショップもコンテンツの時代です。

 ひとつは、自社でオリジナルの商品をつくることができるか。もうひとつは、国内外からまだみぬ商品を探してくることができるか。前者も後者も両方とも努力のポイントは「インターネットを触る」というところではなくて、「地味で手間で面倒な仕事をいとわず、頭を使って汗水を流す」というところです。

 ECMJが支援している会社も上記のいずれかをされているところです。まだネットにないオリジナル商品をつくるか、もしくは自社独自の仕入れのルートを開拓しているか。そう考えると、「買いたい人」より「売りたい人」が多い時代の主役は「インターネット専業の会社」ではないのかもしれません。

 おわり。

 

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