著者:石田 麻琴

「机上」よりも早く外に出て、「お客様の客観的な反応」をチェックしよう【no.0652】

 「机上でアイデアを練り続ける」よりも、できるだけ早く実践に落としていった方がいいです、という話。

 新サービスの立案、ブランドのコンセプト、お客さんに楽しんでもらうための販促企画・・定期的に関係者で集まり、ついつい数ヶ月・半年・1年と時間をかけて「完璧なもの」を作ろうとしがちですが、ある程度考えたところで実践に落として、「走りながら変えていく」方にシフトをするのがいいと思います。

 特に、インターネットを活用したビジネスの場合、「変える」ことにそう大きなコストがかかるわけではありません。WEBサイトのカラーを変えたいなら、CSSをイジれば一瞬でできます。販促企画を作ろうと思ったら、1日で準備が整います。いずれも、「お金」というコストはかかりません。「時間(労力)」というコストがかかるだけです。

 「机上でアイデアを練り続ける」のと、「走りながら変えていく」ので、数ヶ月・半年・1年と、かける「時間」のコストが同じであれば、「走りながら変えていく」方に「時間」というコストをかけた方が有益です。

 なにより、「走りながら変えていく」と「お客様からの反応」という「客観的」なデータを「定量的」に得ることができます。「机上でアイデアを練り続ける」のは、あくまでサービスを提供する自分たちが「主観的」に「定性的」な判断をしているに過ぎません。「これって、良さそうだよね」みたいなのですね。「主観的」で「定性的」です。

実店舗をオープンさせるとか、商品を企画して在庫を大量に抱えることになるとか、リアルの広告を使って一大プロモーションを打つとかであれば、「お金」という大きなコストがかかるわけですから、その準備・検討として「時間」というコストを使うことも必要でしょう。ただ、大きな「お金」のコストをかけるためには、小さな「お金」のコストをかけて練習を積んでおかなければいけません。いきなり大きな「お金」のコストをかけるのは、「ギャンブル」というものです。

 「机上でアイデアを練り続ける」ことの怖さは、「選択肢が狭まっていくこと」の怖さでもあります。例えば、新サービスの立案を半年をかけておこなったとします。いざ、新サービスをリリースしたとして、これが100%成功すれば良いのですが、お客様事ですからズッコける可能性もゼロではないわけです。むしろ、半年間、自分たちの「主観」でアイデアを練ってきたわけですから、「このアイデアっていいよね」が自分たちの中に刷り込まれているでしょう。負けパターンに近い状態です。

 1発目で成功すればハッピーですが、案の定ズッコけて、しかも半年も経過しているとなると、人間の心理として「後戻り」ができなくなります。アイデア自体がズレているとすれば、本来は「一旦戻って考え直し」なのですが、時間をかけて(自分たちの中では)練りに練ったアイデアだと引くに引けなくなるのです。結果、現状のコンセプトをこねくり回して成果を求めようとします。もしくは、強引にプロモーションをのっけて、何とか市場を作ろうとします。「思考の混乱」状態です。当然、元がダメなわけですから売上には繋がりません。

 大切なのは、アイデアを練っている段階で、机上だけではなく外に出て「お客様の客観的な反応」を常にチェックしておくこと、それをアイデアを磨くための材料にすることです。これはインターネットを使えば、簡単にできることだと思います。サービスを提供する前に、マーケティングとしてインターネットを活用するわけです。

 もし、万が一、自分たちの主観だけで話が進んでしまい、時間を使ったわりにズッコけて、後に引けないような雰囲気になった場合、「いままでのことはきっぱり忘れて、イチから作っていきましょう」と勇気をもっていいましょう。こういうのって、話し合いをしている過程で、実はメンバーは「もしかして、このまま進んでもダメじゃね?」と気づいていたりします。(ただ、誰も怖くて言い出さないだけ)

「ここまでやったんだから・・」という気持ちが、立ち直れないところまで傷口を広げます。

 おわり。