(まずは、前回のブログからお読みください。前回はこちら)
前回は、「1社に1名、マーケターが必ず必要になる理由」というブログを書きました。企業にありがちな定例会議をモデルにして、「マーケター」がどんな悩みを解決するのかを紹介しました。今回は、その続きです。
ブログ文中にこんな一節がありました。覚えていますでしょうか。会議中、「じゃあ、この部門(この支社)について何か質問はありませんか?」となった際に、「各部門・各支社の責任者と『仲が良い』ため、単純に意見を言いづらい」というところです。
たしかに、会議の中で「この数字はどうなっているんですか?」と質問すると、その人をみんなの前で吊し上げているようで、何だか悪い。そして、気まずくなりたくない。会社の中での関係よりも、社外での友人としての関係の方が大切だ。いろいろあると思います。
しかし、仕事上、その考え方は間違っています。ふたつの理由からです。
まず、ひとつ目の理由。取り立てて言うことでもないですが、自分が責任を持っている部門や支社の売上を最大化させるだけではなく、会社全体の売上を最大化させるミッションが、会社に所属する全員にはあるからです。ね、つまらない理由でしょう。でも、この理由のことが言いたいわけではないのです。これを前提として「気まずくなりたくない」わけですから。
もうひとつの理由、これが大事なのですが、「成果が上がらない=そいつが悪い」ではないということです。会議の中で「この数字はどうなっているんですか?」と質問すると、あたかも「そいつが悪い」というように思いがちですが、悪いのは「施策」であって「そいつ」ではありません。会議の中に「そいつが悪い」と思っている、もしくは思わせる風潮があるからこそ、「気まずくなりたくない」という気持ちになるのです。
どんどん意見を言って良いのです。どんどん突っ込んでいいのです。そして、どんどん指摘していいのです。悪いのは「施策」であって「そいつ」ではないのですから。結果が出ていないのは、「そいつ」の能力が足りないわけではないんです。
会社と同じです。法人という車の中に、役員・社員という沢山の仲間が乗っていて、その中でハンドルを握っているのが代表取締役というだけです。どの施策を選択し、実行するか。それを最終的に決めるのはハンドルを持っている人ですが、判断と選択をするための材料を集めるのは車に乗っている全員です。
各部門・各支社の担当者は、この例えで言うところの代表取締役です。運転席でハンドルを握っているのが、部門長であり支社長です。彼らは、ハンドルを切る最終的な責任を持っているにすぎません。そして、その切ったハンドルに成果が伴わない場合、部門長や支社長の能力が足りないのではなく、その全段階での施策に対する判断の選択が甘かったという、ただそれだけです。
なので、「成果が上がらない=そいつが悪い」ではなく、「成果が上がらない=施策の選択と判断が悪い」のです。「仲が悪くなるので、気まずい」なんて言うのではなく、会議の場では各部門長・各支社長の「成果」がいち早く出るようにサポートをしてあげなくてはいけません。もし、「そいつが悪い」と否定する場合があるとすれば、「できるのにやっていない」場合のみです。
とはいえ、一般的な会社の会議だと「成果が上がらない=そいつが悪い」という雰囲気、「だから、誰にも突っ込まない。そして、自分にも突っ込ませない」という雰囲気になりがちです。会議の議長を務める代表者は、必ず会議の趣旨を繰り返し伝えなくてはいけません。「みんなパトカーになるのではなく、救急車になるんだよ。そのための会議なんだよ」と。