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「意思」には「ルール」で対抗する。「ルール」は市場環境によって変化する。【no.0596】

 「意思」には「ルール」で対抗するしかありません。

 ひと月に1本、自分の仕事について800文字程度のブログを書きましょう、という会社があるとします。「じゃあ、みんなで頑張りましょう!」と意気込んで、本当にやる気になるのは経営者や事業責任者と一部のスタッフだけです。ほとんどのメンバーは面倒くさがります。

 最初の1本は、ひと月の間になんとか書いてくれるかもしれません。しかし、その次の月にはなかなかブログが提出されません。「そろそろ出してくれよ」と、何回か突っついて、やっと期限ぎりぎりにブログが提出されます。さらにその次の月は、もっと苦労をします。突っついても何らかの理由をつけられ、提出がされません。ひと月を超えて、ふた月目になって、やっと1本、出るか出ないかになります。運が悪ければ、「ひと月に800文字を一本書く」という仕事自体が、この時点で自然消滅していってしまいます。経営者や事業責任者の我慢のしどきです。

 スタッフもヒマではないのです。多少、時間をやりくりすれば、ひと月の間に800文字程度のブログなど何とかなりそうな気がします。経営者や事業責任者にとっては、そう思われます。でも、スタッフにとっては現状の仕事に加えて「他に頭を使いたくない」「他の不安(悩み)を抱えたくない」というのが本音でしょう。時間がないわけではないのです。余裕がないわけです。しかも、「ひと月1本800文字」のブログを書いたとて、それが評価に結び付かないなら、わざわざ仕事として増やしたくないでしょう。「それをやって、私の給料は上がるんですか」。口には出さなくてもそう思っているところもあります。

 とはいえ、「ひと月1本800文字」程度ならば、「忙しい忙しい」を連発していたとしても、書き上げられるはずです。だって、800文字のブログは、800回キーボードを打てば書きあがります。30日に分けるなら、1日27文字です。1日27文字以上を書けば、いつか終わりがきます。文章が下手でも上手くても別にいいのです。まずは書き上げることが大切です。というか、文章を書く前から「文章を上手に」書くことはできません。

 つまり、「ひと月1本800文字」程度のブログを書けないのは、「書けない」のではなく「書かない」、「意思」の問題ということになります。「意思」があれば800文字程度は書けるはずです。「意思」のレベルまで落とし込んで実践されないことは、「ルール」で対抗するしかありません。「そういうルールだから」の一点張りで対抗するしかないのです。

 事業を継続していると、ルールが変化していきます。当然です。市場が変化しているわけですから、ルールも変わるのが当たり前です。まずは採用の際に、「ルールは変わる」ことを周知させておかなければいけません。「あなたにはこれを担当してもらう。この仕事をしてもらう」と明確に定義すると、市場環境が変わったときに変化できないスタッフが事業の足手まといになってしまう可能性もあります。スタッフに変わってもらうか、血の入れ替え(スタッフの入れ替え)をするか。選択肢はふたつです。できれば、現状のスタッフに「変化を続けて」もらいながら、事業を成長させていきたいところですよね。

 「意思」には「ルール」で対抗しなければいけません。そして「ルール」は常に変化することを、入社前から伝えておかなければいけません。本当に「ひと月1本800文字」を会社の文化として徹底させたいならば、「『ひと月1本800文字』のブログと『給料袋』を引き換える」というルールだって、「アリ」じゃないかと思います。

 おわり。

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