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「思っていたよりも成果が出てしまった」場合のカイゼンは難しい【no.0823】

 仮説・実行・検証・改善のサイクルで抜けがちなのが「検証と改善」です。

 自分たちがおこなった施策を定量的に評価して、次の改善施策を検討する。この「絞った雑巾からさらに水を絞り出す」ような仕事は、できればやりたくない仕事だと思います。仮説と実行だけで結果が出続けるなら、それが最もハッピーです。

 ただ、仕事は実行をしたらすぐに成果がでるわけではありません。やはりPDCAのカイゼン活動を回していきながら、時間をかけて成果が生まれるように成長させていくものだと思います。「検証と改善」は不可欠です。

 自分たちがおこなった施策が「思っていたよりも成果が出ていない」場合、つまり期待値よりも成果が低い場合、PDCAのカイゼン活動は必須です。できればやりたくない仕事ですが、さらに仕事を掘り下げて鋭利な刃物に仕上げていくためには、「検証と改善」をおこなって、自分たちを研いでいかなくてはいけません。

 しかし、「思っていたよりも成果が出ていない」場合よりも、もっと難しい「検証と改善」があります。それは「思っていたよりも成果が出てしまった」場合の「検証と改善」です。

 「思っていたよりも成果が出てしまった」場合、仕事が上手くいっているわけですから「検証と改善」が頭の中から抜け落ちてしまいます。「思っていたよりも成果が出ていない」場合は、「次にどうすればいいか?」という思考になりますが、上手くいっている場合は「これで良いじゃん」になりがちです。

 もちろん、上手くいっている場合は「これで良いじゃん」でも結構です。しかし、できることならば「もっと研げばもっと成果が出るかもしれない」という思考に繋げ、「仮説と改善」をおこなっていくと、より絶対的な立場を作ることができるのではないでしょうか。

 ユニクロのマーケティングがすごいところは、「売れるものを徹底的に売り抜くことができる」ところにあるといわれています。ユニクロのコンサルタントをやられていた方からお聞きした話です。

 ユニクロのブランドが一般に知られるようになったきっかけは、フリースの爆発的なヒットです。当然、最初から爆発的にヒットしていったわけではありません。なぜなら、爆発的にヒットさせるためには爆発的な在庫を作らなくてはいけないからです。

 フリースの期待値がどれほどだったかはわかりませんが、既存の商品に対して違う売れ方をしているフリースを見逃さなかったわけです。「他の商品よりも売れているね」「売れた。売れた。良かった。良かった」で終わらすのではなく、「もっと売るためにはどうすればいいか?」その「検証と改善」を重ねていくことが重要なのです。

 もし、商品やサービスをリリースしたときに、他の商品やサービスに比べて明らかに売れ方が違う場合、それは商品力、サービス力の違いです。つまり、コンテンツ力が他と違うからこそ、異なった売れ方をしています。これは絶対的な価値です。

 大切なのは、コンテンツ力があると気づいたときに「利用されているね。良かったね」で満足するのではなく、そのコンテンツ力を最大に活かして「もっと利用されるにはどうすればいいか?」の「検証と改善」をおこなうことではないでしょうか。

 成果はネガティブな要因を隠します。また、成果はポジティブなものも隠します。「思っていたよりも成果が出ていない」場合よりも、「思っていたよりも成果が出てしまった」場合に自分を見つめる方が困難です。「勝って兜の緒を締めよ」をできるかが、ヒットと爆発的ヒットの差を分けます。

 おわり。

 

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