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実店舗をやっていればわかる数値項目とインターネットならではの数値項目【no.0427】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

 「はっっ!!」。目が覚めた鬼切社長は、すぐに起き上りました。「猪井氏(いいし)先生との打ち合わせ中だったんだ。猪井氏先生は、どこだ?」と会議室を見回すと、猪井氏先生は長いソファーの上で横になって寝ていました。

 鬼切社長が起きたことに気づいた猪井氏先生は、鬼切社長より少し遅れて、身体を起こしました。

「おー、鬼切はん、気づいたかいな。あんた、ワシが話してたら失神してもうたんじゃぞ。覚えとるか」

 鬼切社長は、猪井氏先生の話を聞いている途中、目の前が砂嵐のようになったことまでは覚えていましたが、失神をしたことはもちろん覚えていません。「すいません。猪井氏先生、またやっちゃいました」と、鬼切社長はかわいく舌をペロっと出しました。

「まあ、鬼切はんが失神している間、ワシも少し寝れたからよかったんじゃけどな。ほんで、鬼切はんはワシが話し取ったこと、覚えてんの?」

 人が失神してるのにこの人はのんきに寝てたのか、と鬼切社長は猪井氏先生の適当っぷりに失望しつつ、手元にあるメモ帳を見ました。「事業数値」という他に、「売上=1億円」、「アクセス人数」、「受注件数」という言葉がメモしてありました。「うわっ!」。気づくと猪井氏先生が鬼切社長のメモを後ろからジロりと覗いていました。

「鬼切はん、そこまでしか書いとらんのかいなぁ。じゃあ、最初から説明し直しじゃなぁ」

 猪井氏先生が呆れたような声で言いました。そして猪井氏先生、「仕方ないわ。今度はわかりやすいように、ホワイトボードに書きながら説明するからな」と言うと、ホワイトボードまで歩いていきました。鬼切社長は一瞬「最初からそうやって説明してくれよぉ」と思いましたが、ホワイトボードまで歩く猪井氏先生を見て、猪井氏先生が鬼切社長の前で初めてホワイトボード使うことに気がつきました。

「ええか、鬼切はん。ネットショップちゅーもんは、売上の目標が決まると、『会計』の数字の他に、『事業』の数字が決まる。ここがポイントちゅーわけじゃ」

 鬼切社長は、失神する前に猪井氏先生から聞いたことを何となく思い出しました。

「ほんで、その『事業数値』を構成する主な項目が5つある。『売上』『アクセス人数』『受注件数』『転換率』『客単価』、この5項目じゃ。この5項目について、わからないもんあるか?」

 鬼切社長は、一旦メモ帳にこの5つの項目をメモし、「売上」からひとつずつ確認していきました。

「えーと、まず『売上』はそのまま売上ですよね。『アクセス人数』。これはネットショップにきている人の数だと思うんですが、いまいち定義が自分の中で曖昧ですね。『受注件数』ってのは、これもそのまま『注文の数』ってことで間違いないですよね。『転換率』は・・ごめんなさい、全くわからないです。『客単価』は、これはわかります。お客様が購入してくれた平均の金額ってことですよね。『売上』を『受注件数』で割った金額ですよね」

 猪井氏先生は「ウンウン」と頷きながら、鬼切社長の話を聞いていました。

「そうじゃな。『売上』『受注件数』『客単価』ってのは、わかりやすいわな。おにぎり水産は実店舗もやっとるから、そっちでは毎度確認している数字だと思うわ。『アクセス人数』と『転換率』ちゅー数字の項目は、インターネットの仕事に慣れてないと、なかなかイメージがわからないかもしれん。鬼切はん、おにぎり水産の工場併設の実店舗、一日に何人のお客さんが来とるか、わかるか?」

 猪井氏先生に質問に対して、鬼切社長は「いやいや、そんなものわかるわけないでしょう」と言いながら、両手の手のひらを身体の前で振りました。

「まあ、実店舗は、そうじゃろうな。でも、ネットショップは、それがわかるんじゃ」

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