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原価率と利益率を考える。前編【no.0655】

 原価率と利益率を考える。前編です。ビジネスを成長させる上で「原価率」と「利益率」はもっとも重要な指標です。

原価率と利益率は戦略に関わる

 「原価率」と「利益率」。商品をつくる(仕入れる)のにいくらかかるのか。販売するとどれくらいの利益が残るのかですよね。この「原価率」と「利益率」がビジネスの戦略にも関わってきます。

 販売価格1万円の商品の商品原価が5,000円だった場合、原価率は50%、利益率も50%です。販売価格が1万円で商品原価が8,000円であれば、原価率は80%、利益率は20%です。1つの商品が売れたときに、一方は5,000円儲かり、もう一方は2,000円しか儲かりません。

 原価率の高い商品は、商品が売れても「あまり儲からない」だけではありません。それだけではなく「在庫のリスク」も高くなります。

高い原価率、低い利益率は「在庫のリスク」

 商品を5つ仕入れたとします。商品原価が5,000円であれば、5つ完売すると25,000円の利益が出ます。4つ売れて、1つ売れ残ったとしても最終的に15,000円の利益が出ます。4つ売れて利益20,000円、1つ売れ残って商品原価5,000円のロスという計算ですね。

 しかし、商品原価が8,000円だとどうでしょう。商品が5つ完売すれば10,000円の利益が出ます。もし商品が1つ売れ残ってしまったとしたら、利益はゼロです。4つも売れたのにゼロです。4つ売れて利益が8,000円、しかし1つが残って商品原価8,000円がロスになります。

 商品原価5,000円ならば3つ売れて、2つが売れ残ってもまだ5,000円の利益が出ます。ところが、商品原価8,000円だと2つ売れ残ると、1万円のマイナスです。これが原価率の高い商品を取り扱うことの怖さです。

原価率が高ければ数を売れば良いのだけども

 原価率が高い商品で利益を上げようとするならば、数を売るしかありません。1つ売れて利益が2,000円ならば、1,000個を売ればいいのです。1,000個売れれば、200万円の利益が出ます。しかしながら、1,000個を売るためには1,000個の商品を仕入れなければいけません。常に、「売れ残ったらどうしよう」という不安がつきまといます。

 商品を1,000個つくって全て売り切れたとしても、次の1,000個をつくるのはリスクが伴います。だって、次の1,000個もサックリ売りきれるかはわからないわけですから。「まだまだ売れるはず」と、1,000個の仕入れを3,000個に増やすというような選択は怖くて仕方ありません。

 原価率は安ければ安いほど良いわけです。逆に、利益率は高ければ高いほど良いわけですね。

利益率が高ければ「=ボッタクリ」なわけではない

 こんなことをいうと「お前はボッタクリを良しとしているのか!」と怒る人がいるかもしれません。しかし、価格というものは「買い手」が決めるものです。「買い手」が納得しないのならば、その金額で買わなければいいわけです。「ボッタクリ」は「買い手」との合意が取れていないのが問題なのです。利益率が高ければ「=ボッタクリ」なわけではないですよね。

 「売り手」は最大の利益が残る販売価格を設定します。利益率1%で1万人に買ってもらうのも、利益率99%で1人に買ってもらうのも「売り手」が決めます。これは「どんなお客さんを対象にしているか」に関わってくることです。

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