サイトアイコン ECMJ

「みんなが知っている」ことのマーケティング価値。【no.0205】

 先日、ある会社さんの30周年記念イベントにお誘いいただいて行ってきたんですね。イベントはTRFのライブで、特にファンというわけではないし、まあ世代なので何曲かは知っているんですけど、どちらかというとライブ目当てというより、30周年記念お祝いに参加する目的で向かったんですね。土曜だったこともあって、うちの嫁を誘って行ってきました。うちの嫁は前日、翌日と仕事だったもんで、「家でゆっくりしたい」という、あまり乗ってない感じだったのですが、半ば強引に連れ出して。

 イベントは16時からスタートして、前後に30周年記念の挨拶や簡単な式典などがあり、ライブ自体は45分程度だったんですけど、めちゃくちゃ盛り上がったんですね。東京ドームシティホールがパンパンだったので、2,500人以上は入っていたと思います。アリーナの人(たぶん社員)はほぼ全員立ち上がって、バルコニーの私たちのようなゲストの中にも、立ち上がっている人がかなりいました。ちなみに、「家で寝てたい」と言っていた嫁も、めちゃくちゃ興奮していたんですよね。さっきまでのは何だったんだ、と思ったんですが。

 イベント後、近くのHUBで飲んでいて思ったんですが、TRFって実は知っている曲多いんですよね。ちょっと、TRFの知っている曲、挙げてみてください。たぶん、このあたりは、みんな何となく口ずさめるんじゃないですかね?「EZ DO DANCE」「寒い夜だから…」「survival dAnce 〜no no cry more〜」「BOY MEETS GIRL」「CRAZY GONNA CRAZY」「masquerade」「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」。ファンの方ならもっと言えると思うんですけど、世代の人だったらこのあたりは知ってるんじゃないでしょうか。

 そして、上記の7曲については、このライブで全部やっていました。だから、私も何となく口ずさめて、場の中に入っていけて、盛り上がれたわけなんですね。この、「何となく知っている。何となく口ずさめる」曲が、7曲もあるって、実はすごいことなんですよ。以下、いわゆるビックネームのアーティストなんですが、「何となく知っている。何となく口ずさめる」曲を何曲知っているか、挙げてみてください。

 安室奈美恵、浜崎あゆみ、サザンオールスターズ、GLAY、B’z、Mr.Children、CHAGE and ASKA、米米CLUB、SMAP、宇多田ヒカル、globe、DREAMS COME TRUE・・どうですか?意外と7曲あげるのって大変じゃないですか。ファンだ、とかCDを持ってるとかでなければ、4曲くらいまではさらっと出て、そこから少々苦しむのではないでしょうか。

 TRFが、日本人なら「何となく知っている。何となく口ずさめる」曲を7曲も持っているのってすごいと思うんですよね。今回のライブのような、45分くらいのイベントであれば、ほぼ全てを「みんなが知っている」曲で固めることができるわけですから、これってすごくマーケットがあることだと思うんですよね。この「みんなが知っている」というコンテンツの強さ

 TRFが活躍していたのは1995年前後、ギリギリ携帯電話もインターネットも一般的でなく、家での楽しみがテレビ中心だった時代じゃないですか。それ以降、携帯電話とインターネットの普及によって、時間の使われ方が変わっていき、情報がよりセグメンテーションされていくことになるんですが、ここはぎりぎりマスの時代。日本人のみんなが「知っている」というものが多い最後の時代だと思うんですね。マスが通用しなくなった時代に、マスを打つとしたらこの1995年前後、というのがカギになる気がします。実は、思っている以上にコンテンツ価値があるのかもしれません

 ちなみに、30周年記念コンサートで最も印象に残ったのはTRFのライブではなく、最前列の中央に座りながらライブ中にステージを一切見ず、来場した2,500人の方をずっと見ていた、この会社の会長。創業者である会長は、感慨深かっただろうなぁ。だって最初は1人だったわけだから

 おわり。

モバイルバージョンを終了