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「できること」ではなく、「勝てること」をやり抜く。【no.0687】

 「できること」ではなく、「勝てること」をやるのが大事だと思います。

 事業をスタートしたばかりのころ、「勝てること」は見えません。何をやれば「勝てる」のかはわかりません。たまに「『勝てること』を教えてくれ!」という方がいますが、マーケティングに「魔法の杖」はありません。「魔法の杖」があるとすれば、それは地中に眠っています。最初は「勝てること」ではなく、「できること」をやるのは仕方ありません。「できること」を徹底的におこない、土を掘り下げていった末に、「勝てること」という「魔法の杖」を見つけることができるのです。

 「勝てること」を見つけるためのレーダーが、データです。「できること」を工夫を重ねながら実践し、データでの検証を繰り返していくと、「効果が出ている『できること』」と「効果が出ていない『できること』」が見えてきます。また、「できること」に当てはまらない部分で、データの数字が動いていることに気がつきます。ECMJセミナーでもお話している「内的要因」「外的要因」というものです。

 効果の有無がデータでみえてきたら、次のアクションはシンプルです。「効果が出ているものをより強化し、効果が出ていないものを捨てる」ということです。もちろん、ここにはサービスを提供している会社・スタッフの志向性も絡みます。たとえ「効果が出ているもの」を見つけたとしても、「志向性が違うから」という理由でバッサリ切り捨て、さらなる「効果が出ているもの」を探す、という考え方もあります。ここは、Eコマースなら店長、メディアなら編集長の「センス」に依存します。

 とはいえ、データはユーザーがWEBサイトに対して反応をした「客観的」な評価ですから、「効果が出ているもの」を捨てる理由は基本的にありません。「効果が出ている『できること』」、これが「勝てること」である可能性が高い、ということになります。

 あとは、徹底して「勝てること」をやっていけばいいだけなのですが、多くの会社はここで何故か「できること」の実践に留まってしまいます。強化するポイントには「気がついている」のに、です。

 ここを強化するためには、あの担当者にお願いしなければならない(から、できません)。ここを強化するためには、新しい仕入先を開拓しなくてはならない(から、できません)。ここを強化するためには、業務フローを変えなくてはいけない(から、できません)。そんな「できない理由」が上がってきます。そして、いまの仕組みの中で「できること」ばかりを結局続けてしまいます。もちろん「いまできる範囲」で「できること」を「勝てること」に近づけようとはするのですが、「徹底的にやり抜く」までは至りません。

 「できること」から鉱脈をみつけ、「勝てること」を徹底的にやり抜くためには、新しい仕組みが必要になります。「勝てること」を「できること」の仕組みの中でやろうとしていることがそもそもの間違いだということです。組織体系を変えたり、人事異動をしたり、システムを変えたり、業務フローを変えたりするのは、ごくごく当然の流れになります。「できること」の中で「勝てること」をやろうとしても、中途半端で終わってしまうのです。

 もしも、「勝てること」に対して、「ウチの会社は●●●だから、そういうことはできないんですよ!」という人がいたとするならば、それは「ウチの会社は残念ながら成長しないと思います」と言っていることと同じだと思います。そもそも、既存の仕組みを変えて、「勝てること」をやり抜けるようにするのが、「仕事」というものなのではないでしょうか。「どうやったらできるか」を考え試行錯誤するのが、「仕事」というものなのではないかと思います。

 「できること」は誰だってやります。「勝てること」を見つけ出し、徹底的にやり抜いていきたいところです。

 おわり。

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