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ネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』後編 【no.0037】

(前回のブログをご覧になってから、こちらをお読みください)
「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」前編

 「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」後半です。

 前半では、まず「競合が少ないこと」と「一定のお客さんがいること」の2点を挙げました。考え方のヒントとして「ニッチ×マス」で考えることと、参考として「雑誌をみること」を上げました。それでは、次の『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントです。

■低いことも重要だし、低くすることも重要な原価率‥!

 原価率が低いこと。

 イーコマースの世界では、原価率が低い方が有利です。もちろん、リアルの世界の物販でも原価率が低い方が有利ですが、インターネット上の方がより有利ということです。リアルの世界、実店舗では、同じ商品が価格違いで販売していたとしても、実店舗に行くまでの時間や移動費、そのコストによっては値段が高い方で購入することがあると思います。

 東京の中央線沿いに住んでいたら新宿に出てくることはあっても、同じ商品を池袋でまで行って購入することは、何か特別な都合でなければ無いのではないでしょうか。同じ理由で、同じ商品を渋谷で購入することは少ないと思います。当然ですよね。しかし、インターネット上のネットショップであれば、ショップ同士の比較、各々の商品価格の比較が容易なため、同一商品であれば、価格が安い方が圧倒的に有利です。実店舗のように、ショップAは安いけど混んでいるから、ショップBでゆっくり買いたい、なんてこともネットショップではないはずです。買い手側が価格の高い店を選ぶとすれば、安いお店の在庫切れや発送遅延、あまりに信用がなかったりとか、基本的にはそんな理由しかないはずです。他の商品と一緒に買うから高いネットショップを選ぶ、という理屈はこの場合なしとします。

■やっぱり広告投資はある程度、避けられない‥!

 原価率が低い方が良いもうひとつの理由。価格競争で勝つことができる他に、販促広告費に多くの予算を充てられる、というのもあるでしょう。取り扱う商品を「お客さんに探される」モノで揃えれば、自然とお客さんが集まってくる可能性もありますが、やはり、ネットショップとしてある程度の加速をつけようと思えば、リスティング広告やSEO対策などの販促広告費をかけなければならないパターンが多いと思います。原価率が低ければ、1人のお客さんに買ってもらうためにかけることができる販促広告費が多くなります。同じ商品を扱っているネットショップに比べてより有利になります。新規のお客さんの獲得も、既存リピーターのお客さんのフォローも、両方です。

 なので、ネットショップをするならば、製造メーカーや卸の会社の方が、小売りの会社の方が実ははるかに有利です。同じ条件で戦うならば、原価率が低い方が価格・集客という両面で勝てる可能性が高いですからね。さらに言うならば、製造メーカーはさらに有利です。なぜなら、自ら商品を製造することができるからです。小売りや卸は、どうしても商品が他店と同じものになってしまいますから、原価率を下げようと思っても、結局は資本力が強い会社が「大量の商品を購入する代わりに、安く買う」という流れになりやすいです。なので、販売スキルやノウハウの話を別にすれば、本質的には「製造メーカー>卸>小売り」の順でネットショップでは有利、という話になります。だからこそ、小売りのネットショップ企業もOEMでオリジナルの商品を製造しているわけです。オリジナルの商品であれば、自ら売値を決めることができますからね。良いモノを作って、価値に見合った高い値段(もちろん適正価格のこと)で売る、そしてその裏で原価率(商品原価だけではなく、コスト全般)をひたすら下げる努力をする。そして、次の商品企画や販促広告費につなげていく。マクドナルドもappleもユニクロもみんなそうです。

■成功のポイントは、自社の人間で「やりきる」覚悟ではなかろうか‥!

 とはいえ、製造メーカーが有利とはいえ、現実的にはお客さんを訴求するノウハウや力はネットショップ専業(でなくても良いが)でやっている企業が圧倒的に持っているのが事実なので、よりフロントヤードに立っているネットショップが自社での製造ラインを強化していき、製造販売への道を辿っていく、というのが普通なのかもしれません。現時点では、そこまで実現しているネットショップはごくわずかだと思いますが。逆に、製造メーカーの企業が、きちんとしたネットショップ部門を持ち、ネットショップ専任の責任者を立てて、それこそ分社化するくらいの勢いでネットショップ専業並のノウハウを蓄積していけば、勝てる会社が作れるのだと思います。ポイントはネットショップを自社の人間で運営する覚悟を持つことだと思います。これからでも、本気でやるなら、今からでまだまだ間に合う時期だと思いますよ。

続きはこちら。
「これからネットショップに参入する場合『どこに釣竿を垂らすか』考えるポイントとは」終章

 

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