「EC=売上」だけじゃない!ECに取り組む重要な価値。4【no.2187】
(前回【no.2186】のつづきです)
テーマは「EC=売上」だけではない、EC事業に取り組む価値について。前回のコラムでは、データへの取り組みと意識の変化、そして「そもそもデータと情報をどう集めるか」という課題への対処、ふたつのポイントをECに取り組むことで「必然的に」会社を発展させるものとして紹介しました。
EC事業に取り組むことで得られる価値は、データ活用や情報収集だけではありません。
*企業のマーケティングを変化させる
今回のテーマの会社事例でも紹介したとおり、データ活用や情報管理を土台として、企業自身のマーケティングが変化します。EC事業でおこなうマーケティングは決してECサイトだけに影響を与えるわけではありません。
EC事業でおこなっているマーケティングによって、リアルの営業に注文の依頼がくることもあります。また会社の代表電話にお客様からの電話が入ることもあります。EC事業でおこなうマーケティングを自社の既存のビジネスに展開することによって、会社全体のマーケティングがデジタルを活用したものに変化していくのです。
もちろん、事例でお話した「卒団式」のように、ECのマーケティングから新しいニーズを見つけ、そのニーズに合わせた商品やサービスを創出することもできます。とくに、ECサイトの機能を活用すれば「仮に商品が手元になくても」お客様の注文を受けたり、お客様の反応をみることが可能です。会社として実際に商品やサービスをリリースする前のテストマーケティングとしてもECを活用することができるわけです。商品企画、サービス企画の流れも変わります。
*デジタル組織・人材への変化
そして、企業にとってもっともインパクトが大きいのはECに取り組むことによって、社内の人材が「デジタル人材」へと変化していくこと、ひいてはデジタルの時代に合った組織に変化を遂げていくことではないでしょうか。
デジタル組織へと変化する過程として、まずECチームのメンバーがデジタルを活用できる人材に育っていくことが最初のフェーズです。しかし、EC事業はECチームだけでは当然成り立ちません。EC事業を成長させるには、社内の他の部門の協力が必要になります。データのやり取りや情報のやり取りをする過程で、否が応でもデジタルを理解しなければいけないタイミングが訪れます。
ご紹介したように、EC事業を成長させるためには、データ管理・情報管理が重要です。また社内の既存システムとの連携も必要です。WEBサイトの製作についての仕事を社内でおこなわない場合は、フリーランスや業務委託の方、はたまたクラウドソーシングを活用することになるかもしれません。プライベートでSNSを触っている人が、会社の広報活動に携わることもあると思います。
*真っ当なデジタルへの変化の実現
EC事業に取り組むことで、「会社にいままでなかった役割や役目」に誰かが取り組む、もしくは新しい仲間を探すことが必要になるのです。その結果として、デジタル組織への体制の変更につながっていきます。EC事業を成長させる、という「目的」に合わせた会社組織の変化ですから、まさに「真っ当な変化」が実現できるわけです。
デジタル化・DX化すること自体が目的になった組織は、いざ課題が上がったときに「実は自社のデジタル化・DX化はズレていた」ということになりかねません。事業成長の課題に沿ったデジタル化・DX化でない可能性があるからです。
抽象から具体にいくのではなく、たとえ小さくても具体から抽象にいくのです。EC事業という小さな具体に本気で取り組むことによって、「事業を成長させるためには会社の何をデジタル化・DX化すべきか」が明確に見えてくる。これが、「EC=売上」だけではない、EC事業に取り組む「重要な価値」ではないでしょうか。
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