ECマーケティングの内製化とは『判断の内製化』5【no.2181】
(前回【no.2180】のつづき)
前回のコラムでは、「判断の内製化」を実現するための社内メンバーの育成として、最初におこないたい「ふたつ」について紹介しました。ひとつは「リズムづくり」として、ECのマーケティング定例会議を設定すること。もうひとつは、「データを見る」こと。ECMJコラムでもしばしば説明している「数値管理表」を作成することで、自社なりの「判断軸」を徐々につくっていくことがオススメです。
この「定例会議」と「データ活用」を繰り返すことで「判断の内製化」は無理なく実現できます。今回は最終回として、「判断の内製化」までのストーリーをイメージしてみます。
*目標と現状の差分=課題を議論する
ECのマーケティングをスタートさせるとき、まず売上目標の設定をしましょう。売上目標が決まると、現状と目標との差分からギャップを知ることができます。このギャップこそが「課題」です。この「課題」をクリアするための起点として、マーケティング定例会議を設定します。
マーケティングの定例会議のテーマは、自社のECサイトをどう改善するか、売上上位の競合他社との違いはどこか、これからどんな商品を市場に投入すればいいか、など多岐にわたるでしょう。明確に正解(もしくは間違い)がある課題もありますが、ほとんどの課題には「正解」がありません。課題の解決策にはメリットもデメリットもあり、どのようなバランスで選択するかがポイントになります。
*データは「コンパス」である
ある程度、チームで議論したとしても答えのでないことがほとんどです。正解はないのですから、仕方がありません。どこかに判断を着地させなくてはいけないわけですが、その判断を評価してくれるのが「データ活用」です。つまり、判断をした時点では良いか悪いかはわからなくても、実際に行動に移せばその判断が良かったか悪かったかは「データが教えてくれる」のです。「データはコンパスである」ことの所以です。
現状のECビジネスの課題について「定例会議」で議論し判断する。実際の行動を「データ活用」によって評価する。これを繰り替えしていけば、自ずとEC事業自体は成長の軌道にのっていくハズなのです。判断して、行動して、評価する。当然、結果が出ている行動は継続もしくは強化ですし、結果が出ていない行動は終了もしくはブラッシュアップであるわけですから、結果的に「良い方向」に向いていかないわけがないのです。問題は判断・行動・評価の「時間軸」です。
*全体最適をできるのは自社メンバーだけ
極力シンプルは流れとしてお話しましたが、ECサイトの規模が大きくなり、ネット広告の活用や外部ソリューションの活用、外注を活用してのWEB制作など、外からの力を借りるようになっても基礎は同じです。外の力を活用したことによって、EC事業全体は良くなったのか悪くなったのか、悪いならばどこに改善点があるのか、それをデータ活用と定例会議によって判断していくのです。詰まるところやはり、「定例会議」と「データ活用」が「判断の内製化」の土台になるのです。
ECビジネスに関わらず、デジタルのマーケティングは、自社の商品やサービスの特性とデジタルテクノロジー(ツール・システム)の掛け合わせによって成果が生まれてきます。外部の力に最適化してもらえるのは半分です。そして、全体を最適化できるのは自社のマーケティングメンバーだけなのです。
ヒト・モノ・カネ・情報があふれている時代、その各々を組み合わせてビジネスモデルをつくり上げる、「判断の内製化」ができる人材こそ、もっとも求められています。マーケティングの内製化とは「判断の内製化」です、けっして「業務の内製化」ではありません。
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