ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ECマーケティングの内製化とは『判断の内製化』4【no.2180】

(前回【no.2179】のつづき)

 前回のコラムでは、多くの事業者が「判断の内製化」を実現できない原因として、デジタルに取り組む体制が整っていないこと、デジタル組織を「採用」でカバーすることの難しさをお伝えしました。やはり、社内メンバーを「育成」することによって「判断の内製化」を実現することが現実的なのです。

 今回は、社内メンバーの「育成」をいかにして進めるか、について説明をしていきます。

*「判断の内製化」のため取り組みたいこと

 ECマーケティングの「判断の内製化」を進めるため、またデジタルに取り組む組織をつくるため、社内の「比較的若く」「デジタルに興味があり」「商品やサービスを理解している」メンバーを担当者としてアサインしたとします。

 ECサイトの一旦の構築は済んでいるとして、「じゃあ、ECサイトを運営して売上をあげていってくれ」「EC事業を会社の新しい柱に育ててくれ」と指示をしたとしても、担当者は何をどこから進めればいいのか、困惑してしまうのではないでしょうか。「判断の内製化」のため、まず取り組みたいことはふたつです。

*定例会議で最初にやりたいこと

 ひとつは、ECのマーケティングを社内中心に進めていく、つまり「判断の内製化」を実現するための「リズムづくり」です。この「リズムづくり」とは、ECのマーケティングを「サイトをつくる」「広告をかける」「ツールを導入する」など、単発で終わらせず継続的な改善施策として進めていく「ルーチンづくり」とも表現できます。

 「リズムづくり」のためには、ECのマーケティングの定例会議を設定することが大切です。これは、会議のテーマ・議題があるか否かに関わらず、「必ず開催されること」がポイントです。「その時々の状況により開催したりしなかったり」では、最終的に「会議自体が曖昧なもの」になってしまうのがオチです。リズムをつくるためにも、定期開催を守ってください。

 最初のテーマは、「自社のECサイトをどう改善したら良さそうか」ここからで良いと思います。ただ、ECのマーケティングについての知識がない状態で「どう改善したら良さそうか」を議論しても的を大きく外れたアイデアが出がちです。自社のECサイトの上位互換のECサイト、つまり競合・ライバルのECサイトを設定し、そのECサイトの「どこを真似るか?」からスタートするのが良いでしょう。具体的なアイデアをチームメンバーと共有することもでき、実現の可能性が高まります。

*市場ニーズの変化は「意識」で探せる

 もうひとつ、取り組んでいきたいことは「データを見る」ことです。ECMJコラムで紹介している「数値管理表」がまさにそれです。ECサイトにおける日次のデータを毎日確認して、その要因を探していく。お客様の行動の変化から、市場の新しいニーズを探していく。これをルーチン業務としておこないます。まさに、これが「判断の内製化」の根源であり、以後外部のソリューションを活用していく中でも自社内における「判断軸」になっていきます。

 「毎日データを見ていきましょう」。この提案をするとしばしば出てくるのが、「うちのECサイトは売上がほぼゼロなので見る意味がありません」「まだデータの動きが小さいのですが、見る必要があるのでしょうか」という質問です。答えはシンプルです。「今日からやりましょう」です。データが動かない、データが小さいのは、自社のECサイトに対するアクションが小さいからです。それをチーム自身で理解するためにも「数値管理表」の活用は必須なのです。

 また「数値管理表」には、自社の行動と成果を管理するだけではなく、自分たちが気づいていない「市場ニーズの変化」を探す、という側面もあります。「市場ニーズの変化」はECサイトの規模に関わらず「気づくか」「アンテナをはっているか」それだけが重要です。つまり、チームの意識次第です。この「市場ニーズの変化」に気づくか否かは、後発のECサイトが「旗を立てる」ためのキーポイントになります。

 つづく。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから