たしかに「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇」かもしれない【no.2176】
先日、とあるインタビューを受けた。ネタバレになってしまうので、詳細を書くことはできないのだけれども、ひとつだけ印象に残ったことがあった。今回のECMJコラムは「インタビューであった、ひとつの質問」の話。
*質問から10年前を振り返った
インタビューを受けるにあたって、十数個の質問を事前にいただいた。その中から、私が10個を選び、さらに「特に深く聞いてほしいこと」として10個の中からさらに4つを選ぶ。こんな形式だった。いただいた十数個の質問を確認しながら、「この質問だったらこう応えるだろうな」とひとつひとつ想像していく。あまりまとまった応えができなそうなものや、正直何も考えていなかった(考えの浅さ)質問を除いていくと、スムーズに10個の質問に絞ることができた。
その中にこんな質問があった。「この10年で大変だったこと、苦労したこと」。こんな質問をいただくと、当然自分の10年間を振り返ってみることになる。
10年前の2014年。ECMJという会社を創業してから約3年が経った年だ。当時、私は妻と結婚したばかりだった。子どもはまだおらず、いま住んでいるマンションから5分ほどのマンションに妻とふたりで住んでいた。その後、麹町にオフィスを借りることになるのだが、2014年の時点では自宅で仕事をしていた。たしか、あまり事業として上手くいっているとは言えなかった時期だ。会社を創業してから1年目2年目と事業は成長していたが、3年目に事業の成長が止まり、売上も下がっていったのだった。
*現実に考え込み、思い悩む日々
ちょうどいわば「底」だったのが10年前の2014年のことで、そこから少しずつ上向きになっていくのではあるが、誰しもと一緒で思ったようにならなかったり、人間関係に悩んだり、ポジティブなことばかりではなかった。そして、昔の自分はいまよりもさらに「考え込みやすい」「思い悩みやすい」性格だったので、日々の断面を切り取るとネガティブな感情の方が多かったのではないかと思う。この「この10年で大変だったこと、苦労したこと」という質問に素直に返すならば、「大変だったこと、苦労したことばかりでした」となりそうなものであるが、不思議とそうは思わなかったのだ。
たしかに大変だったり、苦労したりした記憶はあるのだが、では改まって「この10年で大変だったこと、苦労したことは何ですか?」と聞かれると、いま10年間を振り返ってみてみれば、「特段、大変だったこと、苦労したことはなかった」のだった。1日1日、あんなにも日々悩んで生きていることが多かったにも関わらずだ。不思議なもので、取り立てて話すようなことはなかったわけだ。
*想い出したチャップリンの言葉
チャップリンの言葉にこんなものがある。「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」。有名な言葉なので知っている人も多いのではないかと思う。今回、この「この10年で大変だったこと、苦労したこと」の質問を考えたとき、このチャップリンの言葉が思い浮かんだ。ミクロでみれば上手くいかなくて悩んだことばかりあるのだが、マクロでみるとそんなこともなかったわけだ。もしかしたら、悩んでいた日々は単なる「まやかし」だったのではないか、とさえも思う。こう考えると、今日の悩みも「悩みすぎるほどでもないもの」に思えて、より素直に前を向ける気がする。
ということで、「この10年で大変だったこと、苦労したこと」を、「特に深く聞いてほしいこと」の4つのうちのひとつに選ばせていただいた。インタビュアーの方も、まさかこんな回答になるとは思わず、少し驚いていたようだが。インタビューの掲載はもう少しかかりそうということなので、また掲載後に皆さんに改めてお知らせいたします。
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