ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

渦巻いているニーズをどうやって探す?【no.2169】

 先日とある経営者の方から話を聞いた。

 その方は元銀行員で、独立してからスポーツジムを経営している。そのスポーツジムは、ある種目のトレーニングが無人でできるジムなのだが(詳しくは伏せます。すいません)、10年前に1店舗目がオープンしてから現在では40店舗に拡大しているという。

*最初のお客様はどこからやってきた?

 私自身が気になっていたのは、初期の顧客づくりやブランドづくりだった。1店舗目のお客様はどうやって会員になってくれたのか。チラシかポスティングか、はたまたティッシュ配りか。もしくはインターネット広告なのか。10年前と考えると、Instagramの広告は主流ではなかったと思えるが。

 その答えは意外なものだった。というか、あまり参考にならないものだった。

 1店舗目を立ち上げた際、同時にWEBサイトをオープンさせた。すると間もなく、お客様から電話がかかってきた。「会員になりたいのですが、どうすればいいですか?」と。それから毎日のようにお客様から問い合わせがあったのだ。多少はGoogleアドワーズ広告(リスティング広告)をかけていたようだが、思いの他スムーズに会員さんが集まってしまったようなのだ。

 その話を聞いて、思い出したことがある。

*2カ月目から黒字のECサイト

 以前、私が座長を務めている勉強会にECのベンチャー経営者を呼んだことがある。もう7-8年前のことになるだろうか。その経営者は、とあるメーカーの「互換商品」を製造販売している今でいうD2C(当時はこの言葉がなかった)の会社だった。特段の後ろだてがないまま、仕入れ販売ではなく製造販売をスタートした会社だ。かなりリスキーな選択ではなかったのか。勉強会の参加メンバーから質問が飛んだ。

 ところが、ECサイトオープンの初月からある程度売上が取れていたというのだ。このサイトもGoogleアドワーズ広告をわずかにかけただけだったという。2か月目には月商200万円を超えたと言っていたかもしれない。もともと利益率の高い商材であるから、固定費だけでいえば2カ月目にして黒字転換してしまったかもしれない。

*以前からニーズは渦巻いていた

 紹介したスポーツジム(のサイト)と「互換商品」のECサイトになぜ立ち上げ直後からお客様がやってきたか。そして、すぐに売上につながったのか。それは、スポーツジム(のサイト)とECサイトを立ち上げる前から、インターネット上にニーズが渦巻いていたからだ。両社ともGoogleアドワーズ広告を活用した事例だが、すでにGoogle検索では「ニーズが何らかのカタチ」で検索されていた可能性が高い。ある意味、スタート時点で成功がほぼ約束されたWEBサイトであったわけだ。

 となると、こういったニーズをインターネット上からキャッチできないか、というのが議論の対象になるだろう。ちなみに、スポーツジム・「互換商品」のECサイトは、ともに先駆者であった。これらの成功をみて今では競合ビジネスが登場しているが、スタート当初は「ネット上のニーズを総取り」の状態だった。スポーツジムの経営者は「ニーズはあると思ったけれど、ここまでとは思っていなかった」と言った。ECサイトの経営者は「間違いなくニーズはあると思っていた」と言っていた。

*ゼロイチを楽に突破するには?

 このマーケティングを言語化すれば、「ネット上で課題解決が探されているが、ぴったりのサービス・商品がない状態」ということになる。前者は「検索ニーズ」であり、後者は「(ばっちりなサービス・商品のある)課題解決サイト」ということになる。

 ご存じのとおり、ネットのマーケティングは「運用」がポイントになる。「ゼロ→イチ」を運用からいかに作るか。イチができれば広告宣伝で拡散することができる。ただ、「ゼロ→イチ」の前に力尽きてしまうケースが多い。「需給のバランス」からサービスや商品を展開し、初月からお客様が殺到するサービスがつくれれば良いのだが・・

 ECMJとしても、重要なテーマです。なにかピンときた方、ご連絡ください。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから