具体事例:データ・情報から仮説と行動をつくる。前編【no.2157】
ひとつもしくは複数の事柄から、どのような仮説を立て、次なる行動につなげるか。ECMJがコンサルティング指導するときの最も重要なポイントでもあります。
デジタル社会はデータ社会、そして超情報社会。大量に存在するデータ・情報の中からどこに目をつけ、有効と思われる施策につなげるのか。今回のコラムでは実際にあった事例を少し変えて、このプロセスについてお話していきたいと思います。
*まず前提は「気づく力」から
ある日、いままでにない不思議な注文がありました。
まず前提として、ひとつの注文を「いままでにない不思議な注文」として認識していることが、プロセスにおける大事な一歩目です。ひとつの注文を「いつものひとつの注文」として流してしまうならば、仮説も行動も生まれません。
あれ、こんな注文っていままでなかったよね?
これに気づくためには、日々ECサイトからの注文をみていることが大事です。普段の注文を見つづけているからこそ「いままでになかった違和感」が生まれます。まず同じデータ・情報をみることで、「気づく力」を養いましょう。
*情報を右から左に流さない
この「いままでにない不思議な注文」は、ECサイトで販売している「お菓子」のまとめ買いでした。九州限定で販売している「あまおうイチゴ味のぷっちょ」と「明太子味のプリッツ」としましょう。まとめ買いですので、同じ商品を20個ずつといった注文です。
このような注文がいままでになかった、わけです。もしくは、いままでもあったのかもしれませんが、同じデータ・情報を見つづけていなかったため違和感もなく、流れてしまっていたのかもしれません。実は有効な情報を右から左に流してしまっていることは、よくあるケースです。
まずここまででいえるのは、「お菓子をまとめ買いするケースがある」という仮説です。
*お客様はサイレントに離れていく
とあるお客様が、なにかしらの理由でお菓子をまとめ買いするため、ネット上を探しています。あるネットショップの商品ページを閲覧し、購入数を20個と入力すると在庫設定の関係か、購入ができません。
この場合、お客様はこのネットショップで購入するのを諦めます。オリジナルの商品など、よっぽどのことが無いかぎり、「この商品を20個買いたいのですが、在庫数が足りません。買えますか?」などとは問い合わせしてくれないのです。お客様は同じ商品を他のネットショップで探し、20個の在庫があるネットショップを探すだけなのです。
つまり、サイレントにお客様はネットショップを移動します。ショップ間を移動することにストレスがないのがECの特徴なのですから当然です。
*お客様の「判断材料」を表に出す
ここで言えることは、お客様は問い合わせてくれない、ネットショップ上で見えている情報だけが「お客様の判断材料」になるということです。もちろん「この商品、まとめ買いできますか?」というお客様が全くいないわけじゃないですよ。
となると、「お菓子をまとめ買いするケースがある」という仮説から導き出される行動は明らかです。そう「まとめ買いができる旨をECサイトに表記しておく」なのです。この情報がないと、「まとめ買いができるのか否か」お客様はわかりません。わからないなら、お客様は「わかる他のお店」にいってしまいます。
*なぜお客様はまとめ買いしたのか?
さて、今回のケースでは「あまおうイチゴ味のぷっちょ」と「明太子味のプリッツ」の商品について、ECサイト上で20個以上の在庫があり、お客様が20個ずつを購入したわけです。そしてそれが「いままでにない不思議な注文」として引っかかった。
では、「まとめ買いができる旨をECサイトに表記しておく」からもう一歩踏み込んで仮説と施策を組み立てていきます。
ここで考えたいのは、「なぜお客様はお菓子をまとめ買いしたのか?」です。つまり、お菓子をまとめ買いした目的や用途です。ここに踏み込んでいきましょう。
(次回につづく)
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