ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ECの商品企画。「付随商品」の企画とは【no.2141】

 EC事業における最大のポイントは「商品企画」なのだが、ひとつの観点として「付随商品の企画」がある。この「付随商品」という言葉は、いま私が勝手につくった言葉なので、一般的な別名があるかもしれない。

 ニュアンスとしては、「ある商品を補完する商品」というイメージとして考えてほしい。ここからある経験談を紹介したいと思う。

スマホの互換性バッテリー?

 あれは2010年ごろだっただろうか・・(突然の回想)

 友人に誘われて、とある飲み会にいった。会社経営なのか個人事業主なのか、その形式はさまざまだが、自分で事業をしている人たちの集まりだった。私はコンサルタントとしてはかけ出しで、まだ個人事業主として活動していたのだと思う。10人ほどのメンバーの中に、ひとりまだ事業をスタートしていない人がいた。

 話を聞くと、つい最近会社をやめたという。某有名外資系金融だ。そしてこれから、ある会社の日本法人を立ち上げる交渉をするといった。本当のエリートしか入れない外資系金融をわざわざやめてもったいないなぁ、と私は思いつつ、どのような日本法人を立ち上げるのかを聞いた。「スマホに互換性があるバッテリー」をつくっている会社らしい。

 「そんなものにニーズがあるのか?」私にはピンとこなかった。しかし、この人が立ち上げた日本法人はその後大成功、いまでは誰しもが知っている「Anker」である。このあたり、当時の自分のセンスのなさを恥じるしかない話なのだが・・(苦笑)

スマホのガラスフィルム?

 また、他の話がある。あれは2016年ごろだっただろうか・・(2度目の回想)

 まだECMJが麹町にオフィスを構えていたころだ。ホームページから1件の問い合わせがあった。麹町のオフィスにきてくれるという。その人はAmazonで「スマホのガラスフィルム」を売っているという。結果、半年ほどの短期間ではあったが一緒に仕事をさせてもらうことになった。

 当時(今もだが)Apple製品が隆盛を極め、iPhone・iPadともに数カ月に1度、新製品が出ていた。この発売に合わせて、互換性のあるガラスフィルムを数パターン製作して販売していたのだ。また、まだまだNintendo Switch本体の入手も困難だった時代で、Switchの液晶画面用のガラスフィルムもよく売れていた。

今後伸びうる市場を探す

 冒頭で私が表現した「付随商品」のニュアンスが伝わっただろうか。

 最初に例に挙げた「Anker」も、後に紹介した「ガラスフィルム」もそれ自体では商品としての意味をなさない。それ自体でのニーズもなかっただろう。しかしポイントは、「スマホ(もしくはApple製品)」の爆発的な市場拡大と、そこに対する問題点(充電の問題・破損の問題)をつかみ、互換性のある商品を企画したことなのだ。

 今後伸びると思われる市場に「付随商品」を当てる。こういった商品企画の手法がある。ここを覚えておいてほしい。

「●●専用」の付随商品を企画する

 少し観点が違う話になるが、お弁当の「Origin」の当初の出店戦略は「セブンイレブンの隣に出店する」だったといわれている。セブンイレブンであれば、店舗の立地の綿密なマーケティングをおこなった上で出店をしているはず。セブンイレブンの隣であれば、立地として申し分ないはず。というわけだ。

 お弁当はモバイルバッテリーやガラスフィルムとは異なり、もちろんそれ自体で商品としての価値があるもの。ただ、セブンイレブンの隣に「お弁当専門店」をつくることによって、「付随商品」を提案していた、とも言えなくないかもしれない。まあ、この話はあくまで今回の余談としてでした。

 今後の伸びうる「●●市場」を探す。そして「●●専用」の付随商品を企画する。ECの商品企画として、自社におけるこの「●●」をぜひ埋めてみてもらえればと思います。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから