EC事業におけるスケジュール管理と数値管理。3【no.2139】
(前回no.2138のつづきです)
EC運営をしている会社さんにおいて、意外にきちんとできているケースが少ないのがスケジュール管理と数値管理です。
前回のコラムではECのスケジュール管理について、「その3:定例会議でスケジュールを確認する」「その4:行動計画の状況を確認する」の2点をお伝えしました。月次のスケジュールを立てたとして、計画どおりに行動が実践され、予想どおりの成果(売上)が出ることはまれです。週1回の定例会議を活用して、スケジュールの確認と行動の修正をおこなっていきます。ポイントは、目標売上・実績売上と行動計画・行動履歴の差分を意識することです。
数値管理は行動と成果の「振り返り」
さて、スケジュール管理とともに重要になるのが、数値管理です。ただ、数値管理についてはECMJコラムで繰り返し書いているので、今回ここでは深く言及しません。ECMJのコンサルティングにおいても推奨している「数値管理表」を活用することによって、行動と成果の因果関係を理解することができます。
スケジュール管理が行動(アクション・施策・実践など表現は何でもよい)と成果(売上)の関係を予測するものであるならば、数値管理は行動と成果の振り返りをし、「予測していた関係性のズレ」を確認するためのものなのです。いわば、数値管理はECチームが考えている「市場(お客様でも表現は同じ)に効く」と思っていた行動が、思っていたとおりに市場に効いたのかを検証するための手法になります。
新しい「ニーズの変化」に気づく
ここでいう「市場」とは「ニーズ」という言葉にも置き換えることができます。市場は常に流れています。お客様のニーズは常に流れています。ですから、「これは過去にお客様の反応がよかった施策だから、今回も少し志向を変えて実践してみよう」と行動を計画し実践しても、ニーズがズレているため「効かない」可能性があります。数値管理の手法で、ここを検証するのです。
さらに、数値管理がECチームメンバーに気づかせてくれるのは「ニーズとのズレ」だけではありません。ECチームメンバーがいまだに気づいていない「ニーズの変化」について気づく「ヒント」を与えてくれます。ここは数値管理表の説明でお伝えしているとおりです。「なぜかわからないけれど、この商品が売れている」。「なぜかわからないけれど、このキーワードが検索されている」。こんなケースです。実は「ニーズの変化」に自分たちが気づいていないだけで、次の行動につながるヒントが数値管理から得ることができます。
スケジュール管理と数値管理は「土台」
先に書いたとおり、スケジュール管理は「未来」を計画する手法、そして数値管理は「過去」を活かす手法、この違いがあります。EC運営を「売れたらラッキー」「既存事業の手が空いたときに」ではなく、「EC事業」として回していくならば、スケジュール管理と数値管理がまず組織のベースにあるのが正しい姿です。
スケジュール管理をおこない、目標売上に対する行動を設定する。実際に行動をおこない数値管理で成果との因果関係を検証し、新しいニーズの変化を探す。定例会議で売上進捗と行動履歴を確認し、スケジュールを変更する。このサイクルの中で「新しい広告にチャレンジしようか」「ページの見せ方を変えようか」「SNSのフォロワーをもっと活用できないか」などの細かい粒度の課題が出てくるわけです。
大切なのは、スケジュール管理・数値管理と細かい粒度の課題を逆転させないことです。この逆転現象をおこすと、一時的に成果が出る行動が生まれたとしても「点」で終わり、「線」になりません。モノゴトは「続ければ続けるほど良くなる」はずです。それは経験値や履歴、感性、ECであればデータが蓄積されていくからです。
ぜひ、スケジュール管理と数値管理をいま一度見直されてみてください。
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