ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

年商1億円のECサイトを目指すための手引き。4【no.2123】

 EC事業を自社の「事業の柱」に育てるとき、最初の目標が「年商1億円」ではないでしょうか。実際に、ご相談を受ける大手企業でも、「まずは年商1億円」という言葉が出てきます。月商1億円のEC事業、これが今回のテーマです。(続編として、年商3億円、年商10億円‥なども書いていきます)。前回のコラムを読んでから、こちらをお読みください。

転換率は「商品ページ別」で見る

 前回のコラムでは転換率(CVR)についてお話しました。転換率の理解が難しいのは、算出方法が「割り算」であるからです。ECサイトの規模が大きくなるほど、アクセスの母数が増えます。それに伴い、一見のお客様も増えるため、転換率は下がるのです。ECサイトにおいて、転換率10%というショップは稀です。15%はもっと稀です。ほとんどのECサイトが、転換率5%以内におさまっていると考えてよいでしょう。

 ただ、転換率はネットショップ全体のデータとして見るものではありません。「ウチのサイトは転換率6%だ」「ウチの転換率3%は正常なのか」。こういった話題が出がちですが、ネットショップ全体の転換率は把握しておいた方が良いものの、改善策にはつながりにくいのです。年商1億円のEC事業を目指す、いや年商3億円・10億円を目指すために、知っておきたいのは「商品ページ別の転換率」になります。

「商品×提案」が転換率をつくる

 ネットショップ全体の転換率のデータを重視しすぎない。これと共に重要なのが、商品ページ別の転換率をみる、なのです。ポイントは「商品」ではなく「商品ページ」です。これはみなさんご存じのとおり、ECサイトにアクセスしたお客様が商品を購入するか否かは、商品の良し悪しだけではありません。商品自体の画像や、商品のレビュー、装着・利用シーンのコンテンツ、はたまた商品開発のストーリーなどを加味して商品を購入するからです。ECサイトがあくまで「サイト」である以上、「商品×提案」が転換率に影響をおよぼします。ここでいう「提案」とは、「ページづくり」と考えてもらって相違ありません。

 商品ページ別の転換率のデータをみると、様々な改善策が挙がるはずです。データの見方については、他のECMJコラムで書いているので割愛します。ポイントだけを挙げるとすれば、「ページアクセスが少ない割に売れている商品ページ」「ページアクセスが多い割にそれほど売れていない商品ページ」このふたつをどう改善し、「ページアクセスも多く、売れる商品ページ」に仕上げるか。ここになるでしょう。ぜひECMJコラムを様々読まれてみてください。

「売上の公式」で唯一何倍にもなるのは?

 ここまで転換率について紹介をしてきました。年商1億円のネットショップの転換率はさまざまです、多くが5%前後に落ち着きます。そして、転換率は商材によっても大きく変わります。ここは客単価と同じく、ネットショップ全体のデータとしては大きく変わらないと考える方が無難かもしれません。「転換率を上げよう」は、ネットショップ全体の話ではなく「個々の商品ページ」に対してのことである。ここは押さえておいてください。

 ここまで客単価と転換率について書いてきましたが、売上の公式の最後のひとつです。「売上=アクセス人数×転換率×客単価」。最後はやはりアクセス人数です。ECサイトの規模が年商1億円・年商3億円・年商10億円と成長するとして、ほぼ売上規模に比例するのはアクセス人数なのです。売上の公式のデータ項目をみると、さも客単価も転換率も何倍になるように感じます。しかしこの3つのデータ項目の中で、何倍にもなるのは実は「アクセス人数」ただひとつなのです。

(つづく)

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから