ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

年商1億円のECサイトを目指すための手引き。2【no.2121】

  EC事業を自社の「事業の柱」に育てるとき、最初の目標が「年商1億円」ではないでしょうか。実際に、ご相談を受ける大手企業でも、「まずは年商1億円」という言葉が出てきます。月商1億円のEC事業、これが今回のテーマです。(続編として、年商3億円、年商10億円‥なども書いていきます)。前回のコラムを読んでから、こちらをお読みください。

ECの「客単価」は「=顧客層」

 前回のコラムでは「客単価」について説明をしました。EC事業の売上の公式として「売上=アクセス人数×転換率×客単価」はご存じかと思います。売上を構成するこの3つのデータ項目の中でも「客単価」は特別です。なぜかといえば客単価だけはネットショップの年商が1億円になったとしても、たとえば年商1,000万円のフェイズとあまり変わらないのです。

 その理由として、そもそも客単価は商材で決まります。そして、売れ筋商品の価格に引っ張られます。また、ネットショップは「複数買い」になりにくいので、客単価が固定化されやすいのです。もちろん、ネットショップを運営する過程で、アップセルやクロスセル、アッパー商品の販売、ブランド化などが絡みます。客単価を上げるコツは様々ありますが、結果として「2倍、3倍」になることは年商1億円程度では起こりません。

 これは以前からECMJコラムで書いているとおり、「客単価=顧客層」だから。そう言ってしまえばひと言で済んでしまいます。ECにおいて客単価はそのまま顧客層を表すのです。同じ商材で客単価を2倍にしたいならば、顧客層を変えるしかありません。

年商3億円と商品は変わらない

 現実的にEC事業を年商1億円どころか、年商3億円、年商10億円と成長させるならば、客単価は高く設定したいところです。年商1億円のネットショップと年商3億円のネットショップは実は大きく変わりません。場合によっては年商10億円のネットショップも年商1億円のネットショップと売っているものが変わらない可能性があります。ではなにが異なるのか。

 ひとつは集客・認知です。ネットショップに流入するお客様の数がそもそも異なります。そして物量です。ネットショップの規模が大きければ大きいほど、物量が増えるのは当然です。物量が増えれば、発送が増えます。倉庫が広くなり、在庫が多くなります。物量が増える=受注数が増えるです。お客様からの問い合わせやイレギュラー対応が増えます。仕入れのコントロールも重要です。年商1億円と年商10億円のネットショップの違いはここにあります。商品が変わるかといえば、そうでもないのです。

 実際に集客や認知拡大のコストを考えれば、客単価が高い方が有利です。それだけ利益額も多いわけですから、マーケティングコストが計算しやすくなります。また、客単価が高ければ、客単価が低い場合に比べて物量が減ります。客単価1,000円のネットショップと客単価10,000円のネットショップであれば、10倍です。受注も物量も10倍異なるわけです。

客単価と転換率は相関関係ではない

 そして、ここがポイントです。客単価1,000円のネットショップと、客単価10,000円のネットショップ、単価は10倍異なります。しかし、転換率が10倍変わるわけではないのです。たとえば客単価1,000円のネットショップの転換率が10%だとしたら、客単価10,000円のネットショップの転換率は3%です。あくまで「たとえば」ですが、転換率が1%となり10倍違うということはありません。そう考えれば、いかに客単価を高く設定するか、ここに知恵をしぼった方が良いわけです。

 というところで、客単価の話はこのあたりで離れて、次回から転換率(コンバージョンレート)の話をしていきたいと思います。

(つづく)

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから