ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ECマーケにおける「良い商品」の考え方とつくり方・2【no.2107】

 ECマーケにおける「良い商品」の考え方とつくり方。前回の初回のコラムでは、ECにおいていい商品とは「いまお客様に探されている」かつ「いまお客様に購入されている」商品であると、ひとつの定義を紹介しました。「うちのECはこの商品で」と前提条件を決めている方が、実はECマーケティングにおいては少々違和感のあるところでもあるのです。

現実的なふたつの問題点

 さて、現実的にEC事業を進めていくとすると、ここで2つの問題点が浮かびます。

 ひとつは、「自社が取り扱う商品」がお客様に探される商品なのか。もうひとつが、「いまお客様に探され、購入されている商品」をどうやってリサーチすればいいのかです。前者については、EC事業のスタートと同時に販売商品が決まっているケース。後者については、ECサイトの販売商品にまだ自由度があるケースかもしれません。

 まず、「自社が取り扱う商品」がお客様に探される商品なのか。ここについてですが、ほぼ80%以上の確率で、「探される」といって良いと思います。ただ、少々ネガティブな表現をするならば、「探されているといえば探されている」かもしれません。ネット上やモール検索でお客様は「探している」のです。ただ、お客様が探した結果、自社のECサイトにお客様が到達していない可能性があります。つまり埋もれているわけです。

 埋もれている状態からいかにして引っ張り上げていくか。一見マーケティング施策のように感じますが、ここはむしろ商品企画の領域だったりします。

「探さない」商品が需要がないわけではない

 先ほど、80%以上と書きました。残りの20%程度、「探されない」商品もあるわけです。お客様が「探さない」商品が、イコール需要がない商品というわけではありません。お客様が「ECサイトで」購入する必要がない商品というものがあります。つまり、自宅から近いコンビニエンスストアやスーパー、ホームセンターなどであらかた選択と購入が済んでしまうような商品です。

 自分自身の消費者としてのケースに当てはめれば、「そんなもの、ネットで買って、届くまで2-3日待ってもね・・」という商品があるはずです。それです!!

 たとえば、「消しゴム」をイメージしてください。子どもが宿題をしようとしたところ消しゴムがない。これ、ECサイトで購入せずにコンビニに買いに走りますよね。この類はネットで探されない商品になるわけです。ただ、もし「プレゼント用消しゴム」とか「消しゴム1000個セット」とか「消しゴムLEGO」とかがあれば、これはECに領域が向いてきます。企画性はともかく、問題は「お客様が探すか」です。

リサーチは無料のツールでもカバー可能

 ふたつの問題点のふたつ目は「いまお客様に探され、購入されている商品」のリサーチ方法です。これは有料のマーケティングツールで、明確に要件をカバーするものがいくつか発生しています。また、ショッピングモールにおける検索順位やランキングもある意味リサーチ材料の類になります。

 Googleの無料ツールであるGoogleトレンドはGoogleユーザーの検索トレンドが閲覧できるツールです。「検索=世の中のニーズ」ですから、「いまお客様に探されている」ものが何か知ることができるはずです。他にも、いわゆるサジェスト機能(検索予測)もトレンドの動きとして活用する余地があります。

 とはいえ、商品企画には時間がかかります。「いまお客様に探され、購入されている商品」がわかったとしても、商品として仕上がるまでに数カ月は要するはずです。トレンドが終わってしまっている可能性もあります。ここは「いまお客様に探され、購入されている商品」かつ「トレンド性が弱い定番商品」から商品企画を進めていくのが良いと思います。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから