データを見ると「理由を探す」ポイントがわかる【no.2070】
データを見ると理由を探すポイントがわかる。EC事業の面白さのひとつだと思う。もし明日、突然ECの売上が下がったとしたら、どんなデータを見るだろうか。
日次のデータを見ているから「気づく」
実際、明日突然ECの売上が落ちたとしても、「落ちた」と気づくのは明後日ではない。
まず比較対象となるデータが少ない。デイリー単位で売上が上下するのはEC事業であれば良くあること。もし明日のEC売上が低かったとしても、「低い」日にちが数日続かないと、「あれ、もしかして売上落ちてない?」と気づかないだろう。
そして、そもそも日次単位でオンラインショップのデータを見ているかの問題もある。ECMJがコンサルティングで使う「数値管理表」は日次のデータを管理する手法になる。ある程度、自社に日次でデータ管理をする業務フローが根付いていないと、日次でデータを見ることすら稀かもしれない。つまり、ECの売上が「落ちた」。そのことに気づくこと自体が、1カ月後になることもある。
ここで言えるのは、日次のデータを確認していれば「あれ、もしかして売上落ちてない?」には1週間で気づくことができるということだ。
商品ページ別の販売実績データを見直す
売上の低迷がもどってこない。長くEC事業を続けていればよくあることでもある。その低迷が一時的で売上がもどってくることもある。ただ、ECは「比較の世界」である。もしも競合他社が新しい手を仕掛けてきたとすれば、売上がもどってこない可能性もありえる。もちろん、その仕掛けに対して「対処・対策」をしなかった場合になる。
「あれ、もしかして売上落ちてない?」。そう感じたら、おすすめしたいのは商品ページ別の販売実績データを見直すことにある。この商品ページ別の販売実績データについては、ECMJコラムで何度も登場している。売れ筋商品の把握や商品ページの強化の成果、そして売上下落の原因特定など、様々なヒントを得ることができる万能のデータである。1カ月単位、2週間単位など、定期的に確認しておきたいデータだ。
順序としては、前述したように、まずそもそも「売上が落ちている」ことに気づくこと。これは数値管理表をきちんと入力していれば、データに変化が起こった数日後に気づくことができる。データの流れを確認すれば「この日から状況が変わった」とわかるはずだ。
ポイントにいち早く気づけるか
次に、ターニングポイントになっている(と思われる)日を中心として、前後2週間の商品ページ別の販売実績データを作成する。大切なのは、あくまで「比較」になる。前2週間、後2週間のふたつのデータを必ず作成する。ふたつのデータを比較するからこそ、詳細な状況の変化が見えてくる。
売上が落ちている。その現象から考えれば、ふたつのデータを比較することで見つけたいのは「データの落ちている商品」になる。EC事業は売れ筋が特定の商品に偏る特性がある。そして、その売れ筋商品が売上の中心であると同時に、ネットショップにお客様がアクセスする「導線」の役割を果たしていることが多い。そう考えれば、より中心的な商品のデータが落ちているほど、オンラインショップ全体への影響が大きいことになる。
そもそもの商品ページへのアクセスが減っているのか、それとも受注数(もしくはCVR)が落ちているのか。その原因が自社の施策によるものでなければ、それは競合他社含め、市場に何らかの変化があったと考えられることになる。アタックを受けている商品の競合商品はなにか。その商品の「比較対象」になっている商品はなにか。その比較対象の商品に「選択動機」が傾いている理由はなにか。ここを考えることができれば、対策も立てやすくなる。
必ずしも原因が特定できるわけではない。ただ、データを常に確認して「理由を探すポイント」にいち早く気づけるかどうか。この積み重ねが少しずつEC事業の勝敗をわけていくわけだ。
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