ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

直帰率って低ければ低いほど良いの!?【no.2030】

(2022/5のコラムリライトです)

直帰率について考えていきます。

WEBサイトを運用していると気になるのが直帰率です。直帰率は最初にアクセスしたページだけでWEBサイトを離れてしまったユーザーの比率。つまり、WEBサイトを開いて他のリンクを踏まずに閉じてしまったユーザーの率です。一見すると、直帰率は低ければ低いほど良い、というように思われがちです。しかし、はたしてどうなのでしょうか。

*うちのWEBサイトの直帰率は大丈夫?

「うちのWEBサイトの直帰率って正常ですか?」という質問をいただくことがあります。直帰率はサイトの性質によって変わりますから、一概に良いか悪いかは評価できません。コーポレートサイトで40%前後、メディアサイトで80%前後が通常と言われているようです。

ただ、コーポレートサイト・メディアサイトだけではなく、Eコマースサイトやサービスサイトによっても直帰率は変わります。ECサイトでも商品数が10商品なのか、10,000商品なのかで直帰率は変わります。WEBサイトのデザインやレイアウトによってもしかりです。更新頻度や情報発信の量によっても直帰率は変わります。

*ECマーケティング人財育成のWEBサイトの直帰率は?

さて、ではクイズです。こちらのECマーケティング人財育成のWEBサイト。直帰率は何パーセントでしょうか?コーポレートサイトですから40%ほどでしょうか?それとも少し高めで60%パーセントくらいでしょうか?

答えは、83%です。想像よりも高い数字なのではないでしょうか。

なぜECMJのWEBサイトの直帰率が高めになるのか。それはコーポレートサイトをメディア型にしているからです。いま読んでもらっているECMJコラムがコンテンツそのものです。コラムに新規ユーザーがアクセスしてくれるので直帰率が高くなっています。こう考えると、直帰率は低ければ低いほど良い、とは一概にいえないのがわかります。

*SNSで情報拡散されるとどうなるか

ECMJコラムも何度かSNSで拡散され、一時的にアクセスが伸びたことがあります。以前「サイゼリア」について書いたコラムがSNSで拡散されたことがありました。1日で10,000人以上のユーザーがECMJのサイトにアクセスするような状態になったのです。

そのときの直帰率は98パーセントです。ほとんどのユーザーが2ページ目をみてくれません。ある意味、そのコラムにしか興味がないのだから当然です。98%というと非常に高い直帰率ですが、これも「悪い」とはいえません。SNS拡散により新規ユーザーのアクセスが爆発的に増え、ECMJを知ってもらうきっかけになったと言えなくないわけです。

*コーポレートサイトの直帰率が低くなる理由

コーポレートサイトの直帰率は40パーセント前後といわれている、と書きました。なぜ40%前後と低い数字になるのか。それは、すでに会社のことを知っている人のアクセス比率が高いからです。すでに会社のことを知っている人は、2ページ目、3ページ目とサイト内を回遊します。

「ネットショップ 集客」や「EC 売上アップ」など検索で流入したユーザーは異なります。一見さんは直帰する確率が高いのです。「新規ユーザーに知ってもらうテコ入れをしている」。その点では直帰率の高いWEBサイトの方が評価されるべきなのかもしれません。

やはり、直帰率は低ければ低いほど良い、というわけでもないのです。

*直帰率は「ユーザーの期待値」とのズレを考える

自社のページの内容が充実しているか、コンテンツはわかりやすいか。はたまたWEBサイトのデザインやレイアウトが適切なのか。これらを考える前にそもそも論として考えたいのが「ユーザーの期待値とのズレ」です。

インターネットで自身の課題解決につながるWEBサイトを探していたとします。検索エンジンにキーワードを入れ検索結果から期待に沿いそうなものを選ぶわけです。検索結果に表示された内容と実際のページに「期待値」のズレがあったとします。そのとき、ユーザーは直帰してしまうのです。「思っていたの違ったわー」というやつです。

まずはGoogleアナリティクスで閲覧開始数が高いページ、そして直帰率が高いページを選定します。そして検索結果での表示内容とページの内容にズレがないかを考えましょう。メディアサイトの場合はタイトルが張り切りすぎているケースがあります。コーポレートサイトの場合はページに情報が足りなすぎるケースがあります。

*直帰率対策としてコンテンツの「見せ方」を考える

ユーザーが検索結果からページを開いたときに「うわっ!」となることがあります。自分自身がネットで情報を探しているときに、ページに飛んで「うわっ!」となることをイメージしましょう。

ページにむちゃくちゃ小さい文字が敷き詰められている。たとえばですが、「うわっ!」と思う瞬間です。きっと何かしらの有益な情報が書いてあるのだろうけど、文字が小さかったり文字が敷き詰められていたりすると読む気がしなくなる、ことありますよね。こんなときユーザーは頑張って読もうとしてくれません。検索結果に戻って他のページに情報を探しにいってしまいます。つまり直帰です。

そう考えると、ページのコンテンツの「見せ方」も直帰率に関わります。フォントの大きさやデザイン、文字の行間。イラストや画像の入れ方によっても直帰率は変わります。あと、「うわっ!」って思う瞬間はページの表示速度が極端に遅い場合ですね。表示速度の遅さは直帰率だけではなくSEO対策的にも良くありません。

*直帰率が5パーセント下がったとして・・

ユーザーの期待値とのズレを見直す。ページのコンテンツの「見せ方(見え方)」を変える。それ以外にも細かい直帰率の改善方法があります。しかし、そもそも考えたいのは「直帰率が5%下がったとして」です。

直帰率が85パーセントだったものが80パーセントに5パーセント下がった。もちろん改善の成果として良いことです。しかし、仮に1日のセッションが100セッションのWEBサイトだとします。その場合、5セッションが「2ページ目に進む」増になります。「2ページ目に進む」のが5セッション増えただけです。その後、受注につながるかも問い合わせに繋がるかもわからないユーザーです。冷静に考えるとと、こうなんですよね。

ですから、WEBサイトの改善の方向性として、直帰率の優先順位は考えた方がいいです。正直、巷で言われているほどの重要性はありません。それよりアクセスを増やすこと、受注を増やすことを考える方が良いかもしれませんよ。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから