ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「自分との約束を守る」ための「時間管理術」【no.2029】

(2022/5のコラムリライトです)

「時は金なり」「時間だけは有限」「時間だけは平等に与えられている」

世の中にはいかに時間が重要かを伝える言葉が多くあります。「時間の使い方=スケジュール管理・タスク管理」は仕事はもちろん人生を左右しているのでしょう。

いきあたりばったりの人生も面白いと思います。もちろん管理することばかりが良いわけではないと思います。ただもし自分が「何かをやろう」と思ったとき、「自分と約束する」ことが大切です。今回のECMJコラムは「自分と約束するための『時間管理』」について。

*課題は明確なのに実行できない理由

あくまでこれまでの経験上ですが、課題が明確ではない会社はないと思います。また課題が明確ではない人生も同じようにないと思います。いままで誰しも体験したことがない課題をもっている。また聞いたこともない課題をもっている人はほとんどいません。なぜならほとんどの人間が飛びぬけた環境に身を置いているわけではないからです。

課題は明確ではありません。ほとんどの場合、課題は明らかです。課題が明らかであるということは、解決策も明らかです。実際は考えられる解決策のうち、どれが自社に合っているか、どんな見せ方(伝え方)をすればより解決につながるか、がポイントになります。しかし、解決策自体は明らかです。いままで誰かがその課題を解決した過去、解決に試行錯誤してきた過去があるからです。

売上をもっと上げたい、もっとコストを下げたい、組織に問題がある。これらの課題は必ず解決策があります。また皆さんにヒアリングをすると、その解決策をすでにもっていることすら多いのです。「ECMJさん、我々はこういう風にやっていきたいんですよね」と。「だったらやればいいじゃん!」と思うのですが、そういうわけでもないんですよね。

*解決策が明確なのに実行できない理由

そんな「解決策が自分でわかっているのに実行できない」のには理由があります。コンセプトや組織体系を変えてしまうアイデア。予算や時間があまりにもかかるアイデア。単純に上手くいくかが不安。その理由は様々です。

物理的な問題はともかくです。「やろうと思っているけれどできない」。「ずっとやりたいと思っているけどタイミングがない」。「やらなきゃいけないことはわかっている」。こういった場合、それは「時間の使い方=『時間管理』」の問題です。

ここでの「時間管理」は単純に「予定をスケジュール表に入れる」話ではありません。目的に対しての課題とその解決策を着実に進める。自分のモチベーションを自分自身でできるかぎり操作する。地味で単純になりがちな日々の仕事をゲーミフィケーション的に進める。こういった管理方法です。

*「自分との約束」を守るための「時間管理」

取引先の担当者から連絡がきて、来週の火曜日の13時に訪問することになった。社会人ならば、こんな予定をすっぽかす人はいないと思います。では「1日1時間、英語の勉強をしよう」。これはどうでしょうか。相手のいる約束は確実に履行するが、相手のいない約束は履行しないこともある。そんな人が多いのではないでしょうか。

こんなケースは多くの場合、「やってもやらなくても誰も怒らない」ことです。自分自身だけの問題なのです。英語の勉強をしなくても、誰も注意しません。ただ、自分として「何かをやろう」という目的があるならば「自分との約束」を確実に守る必要があるのではないでしょうか。そして「自分との約束」を守るために、「時間管理」術があるのです。

*「決めたことは必ずやる」という習慣をつける

自分自身との約束を守る。それは「決めたことは必ずやる」という土台がベースになります。この「決めたことは必ずやる」という土台がなければ「時間管理」は成り立ちません。たとえば「1日10コ英単語を覚える」というスケジュールを組んだとします。「決めたことは必ずやる」習慣がなければそこから先に進むことはないでしょう。

とはいえ、そもそも「決めたことは必ずやる」を徹底できなくて困っているわけです。これは「やると決めたからできる」というものではありません。昨日までの自分はルーズで今日からきっちり守る、みたいな変化は容易ではありません。逆説的になります。「決めたことは必ずやる」を徹底するために「時間管理」トレーニングが役立つのです。

ですから、「時間管理」は自分自身の約束を守るためにも活用できます。そして「決めたことは必ずやる」ルールを徹底するためにも活用できるわけです。

*「いま」に集中する環境をつくる

ここから「時間管理」のポイントについて触れていきます。「時間管理」の目的は「『いま』に集中する環境をつくる」ことにあります。

人間にはふたつの手があり、ふたつの足があります。そう考えると、一度にたくさんのことをできそうな気がします。しかしその動きをつかさどっている人間の脳はひとつだけです。たまに右手で文章を書きながら、左手で食事ができるという人もいます。これはいずれかの動きを習慣的におぼえているからできることです。つまり「いま」何かを考え、行動をおこすことはひとつしかできません。

効率的に仕事を進め成果を最大限上げる。そのコツは「いま」に集中することです。頭の中で複数のことを想像し、同時進行でおこなうと必ずどこかにボロがでます。それが結局、生産性やクオリティを下げることにつながります。そしてトータル的に余計な時間をかけてしまうことにつながるのです。課題はたくさんあります。その課題を「それだけに集中して、決断していく」ことこそが「時間管理」です。

*仕事の工程を小分けにして段階的に進める

物事は「工程分け」をするとわかりやすく、スムーズに進めることができます。全体を一気に取り掛かろうとすると、何度もアイデアを考え直すことになりがちです。また、全体の整合性がずれていくこともあります。いったりきたりの状態から最終的にカタチになればまだいい方です。場合によって行き着く先は「妥協」かもしくは「最初からやり直し」です。さすがに「最初からやり直し」は困ります。

何かの行動を起こすとき、最初におこなう仕事は「工程分け」です。時間管理術として「工程分け」の時間を最初に入れてください。まずは「課題と目的」を設定し「ゴール」をイメージします。「ゴール」はこの時点では曖昧でも構いません。行動を起こすごとに「ゴール」はより明確になっていきます。「工程に取り組む前」と「工程に取り組んだ後」では到達点が変わる可能性があります。

例えば、自社のホームページ(サービスサイト)を改修するとします。ホームページ経由でのお客様からの問い合わせを増やすためにはどうすればいいか。まずはそれをホワイトボードに書き出し、課題への取り組みを工程分けしましょう。

*スケジュールを前倒しにすれば楽になる

たとえば明日までに提出しなければいけない資料があるとします。工程分けをして効率的に臨んだとしても、明日が提出期限なわけです。ひとつひとつの仕事が「提出する資料の確定版」になります。そしてそれが「確定版」だと思うと途端に手が動かなくなるのです。「これでいいのか?これでいいのか?」と不安になることでしょう。

スケジュールを前倒しにすればこんな不安に駆られることはありません。工程分けしたものを着実にこなし、まずは「全体を一旦体験」してみます。全体を一旦体験することで、「もっと良くするには」と気が付くこともあるでしょう。

また、「全体を一旦体験」はあくまで「確定版」ではありません。「どうせ確定版ではないんだし」という進めることも「時間管理」上の有効な方法です。全体を一旦体験して、それから改善点を探して修正する。また全体を体験して改善点を探して修正する。これを繰り返せばクオリティの高い仕事ができるはずです。いきなり「確定版」をつくるよりも時間もストレスもかからずに済むのがポイントです。

*「所詮自分の手駒しか出せない」という開き直り

何かの課題に直面したとき、どうしても足が止まってしまいます。解決策を考えるために時間をとるのか、課題から目を背けて引き延ばしているのか。後者のような「先送りパターン」のケースが多いのではないでしょうか。まず難題に対しての解決策を自分で考える。自分の周りにいる上司や先輩や仲間からのアドバイスをもらう。そこまでをやったのならば次は解決策に取り組むべきです。

「所詮、自分の手駒しか出せない」のです。1週間、10日間考えこんだとしても自分の実力がアップすることはありません。むしろ、「試行錯誤」することで実力をアップさせなければいけないわけです。足が止まってしまったときには「所詮自分の手駒しか出せない」と開き直ることです。前倒しのスケジュールで動いていきましょう。

動いている間に見えてくるものがきっとあるはずです。課題は自分に振り返ってきた時点で何らかのカタチで自分がクリアできるものです。もともと難易度が高めの課題で、「試行錯誤」を試されているケースもあります。スマートな解決に結びつけるものだけが仕事ではないのです。

*仕事が早めに終わったら、自由時間

仕事が早めに終わったら自由時間です。ネットで調べものをするもよし。本や雑誌を読むもよし。タバコを吸ったりコーヒーを飲むもよし。そのままの勢いで次の仕事に取り掛かっていくもよしです。工程分けをした仕事が時間より早く終わったら休んで良いのです。(良いと思うのです。かもしれません)

「時間管理」を活用すると、どんな仕事にどれくらいの時間がかかるか。これが取り掛かる前にわかるようになります。これは誰しもが「感覚的」には持っているものです。しかし「これくらいの時間を要します」と言える人は少ないのではないでしょうか。個々の仕事にかかる時間がわかれば、1日にどれくらいの仕事ができるかがわかります。1日にできる仕事量がわかれば、期限・納期を明確に応えられるようになるのです。

*時間管理術は「考える」ことさえスケジュールに入れ込む

「考える」からスケジュールに入れ込んでください。業務をおこなうとき、その業務を工程分けしてスケジュールに入れていくが普通です。ただ、「工程を考える」からスケジュールに入れてもらって結構です。むしろ「考える」は積極的にスケジューリングに入れていきましょう。

「会社の課題を考える」「課題を解決する方法を考える」など。スケジュールは通常、アポイントのスケジュールを入れることが通常です。しかし時間管理においては「考える」でさえスケジュールに入れて結構です。何をするにも、たとえ短時間でも「考える」時間は必要でしょう。

同様に「誰かに聞く」もスケジュールに積極的に入れていってください。若干、アポイントやミーティングと近い感じもします。「解決策を知っていそうな人に聞く」をスケジュールに入れるのは珍しいです。これもどんどんスケジュールに入れていってもらって問題ありません。

*頭の中にあることをできるだけスケジュールに落とす

とにかく頭の中にあるものをできるだけスケジュールに落とし込んでいきます。頭の中とスケジュールを繋ぐのは「紙とペン」です。「ホワイトボードとマーカー」でも「パソコンとキーボード」でも構いません。個人的には直感的に描くことができる「ホワイトボードとマーカー」がおすすめです。

まずは「課題の所在」を考えること。そしてその課題に対する「解決策」を考えること。そして、その解決策を「具体策」に落としこんでいくこと。もしかしたら具体策を決めるにあたって「誰かに聞く」の工程も入るかもしれません。この手順で考えていけば、少しずつでも解決のイメージが湧いてきそうです。この工程をスケジュールに落としていくのです。これをおこなうことで、依頼の漏れも減ります。気づいたときに「ヤバい!」ということも減るはずです。

*気分に合わせてスケジュールを変えていく

工程を細かく分ければ、ちょっとした隙間時間に仕事を入れることができます。工程分けをせず「資料作成」というようなタスクにしていると隙間時間に入れ込むことができません。またスケジュールを前倒しすれば仕事の優先順位を意図的に操作することができます。空いている時間スペースに合った仕事を入れ込めるわけです。

期限ギリギリでスケジュールを組んでいると、目先の時間が支配されます。この支配が不安やストレスを生みます。「定時後に落ち着いてからやろう」とか「土日に出勤して進めよう」になるのです。時間管理を徹底し、状況に合わせてスケジュールを組みなおすのです。

「今日はこの仕事やりたくないな」「この仕事と一緒にこの仕事もやってしまおう」など。自分の感情に合わせた仕事のリズムがあると思います。モチベーションが高いときもあれば、テンションが落ちているときもあるはずです。時間管理をおこなえば状況に合わせて仕事を決めることができます。時間の組み方が限定されるスケジューリングは必要なもの以外は避けたいところです。

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カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 4.Eコマースの人財育成, 7.Eコマースのひと工夫

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから