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7年ぶりに引っ越し業者さんに見積もりを依頼した話。【no.2026】

 もう7年以上前の話です。「引越し業者ってめちゃくちゃスゲー、営業の裏をみた話」というコラムを書きました。これがなかなか好評で、いまだにコラムのアクセスも多いのです。

 実は、あのとき引っ越してきた町から元の町(つまりあの営業さんがやってきた町!)に戻ることになりました。また引越し業者さんに依頼をすることに。はたして今回はどんな発見が待っているのか!?新・引越し業者さんの話。

相変わらず電話を取るのが激早い

 先日、マンションが見つかりまして無事に契約を済ませました。審査があるかと思ったのですが、いつの間にか通過していたようです。「今後『やっぱりダメでした』なんてことあります?引っ越し屋さんに連絡して大丈夫ですか?」。そう不動産屋さんに聞くと、「いやいや全然大丈夫っす」と。

 皆さんご存じのとおり、引っ越し日が決まらないとマンションの解約届が出せません。電気、ガス、水道の会社さんにも連絡することができません。まずは引っ越し日を決める。つまり引っ越し業者さんに連絡をするのが最初のステップになるんですね。

 以前、引っ越しをしたときはA社という引っ越し業者さんを利用しました。当日きてくれたドライバーのお兄さんが非常に良い印象でした。そこで今回もまずはA社に連絡をしてみようと思いました。A社をネット検索し、ホームページのトップページ右上にある電話番号に電話します。2コール呼ぶことなくオペレーターの女性が出てきました。

相変わらず時間の指定が近すぎる

 「お電話ありがとうございます。A社引っ越しサービスセンター〇〇でございます」。さすがのスピードです。とにかく電話はすぐ取りなさいとみっちり指導されているのでしょう。「お客様のご住所はどちらになりますか?」と聞かれたので現住所を伝えます。すると、受付センターが異なるとのこと。末尾をひとつ変えた電話番号にかけ直しです。こちらも1コールでオペレーターの女性につながります。

 「お電話ありがとうございます。A社引っ越しサービスセンター◆◆でございます」。「あ、引っ越しするので見積りをお願いしたいんですけど」。「ありがとうございます。それではお見積りにお伺いできればと思いますが、たとえば本日などいかがでしょう?いまから1時間後であれば伺うことが可能ですが・・」。きたきた、きました。前回も体験した「いまから見積りにいきます」作戦。そう言ってもらえるとわかっていましたが、1時間後を指定してくるとは期待以上です。

なぜか予定よりも1時間早く見積もり開始

 「いや、いま仕事中でして。ただ今夜は家にいます。うーん、19時頃とかはどうでしょう?確実に自宅に戻っていると思うんですが」。「わかりました。ありがとうございます。19時半ごろで大丈夫でしょうか。では本日19時半ごろに伺わせていただきます。お客様のお電話番号をお教え~」。19時半に自宅で見積りということで話がまとまりました。

 しかし~、18時ごろに見知らぬ電話番号から電話が。「もしもし」と私。「A社営業担当の××と申します。少し早くお伺いできるようになりまして、よろしければ今からお伺いしてもよろしいでしょうか?」。「え?いまからってどれくらいですか?」。「15分後にお伺いできると思います」。「は、はぁ。まあ、もう自宅に戻ってきてるのでいいですが・・」

 思わずA社の営業さんに「いやー、単に早めにきたいだけでしょ~」とツッコみます。「いえいえ、お客様のお宅に遅くにお伺いするのも悪いじゃないですか」と。いや、僕が19時半でお願いしますって言ったんだけどね・・まあいいか。ということで、15分後の見積り訪問ということになりました。

やっぱり早く訪問に来すぎていた

 ピンポーーン。15分後、A社の担当営業さんがやってきました。実はA社は私の自宅から徒歩10分くらいのところにあるので近いのです。担当営業さんはいかにも優しそうな30歳くらいの男性です。たしか7年前の見積りにきてくれた方も同じような優しそうな方だったな。前回の方と同じく礼儀にきちんとしている(というか、失礼の線を踏まないように気を付けている)感じです。

 「では、早速、ご自宅の方を拝見させていただきます」。私が営業さんをアテンドして、「あのダブルベッドは捨てていきます」とか「あのラックはどうするか迷い中」とか解説をしていきます。営業さんが部屋の家具をみながら、手元の資料にチェックを入れていく流れです。おそらくどの引っ越し業者さんでも一緒ですね。「では、見積りを計算しますね」と営業さんはiPadに情報の入力をはじめました。

 これが意外と時間がかかっていて、5分くらいしても見積りが出てきません。途中で上司の方に電話をかけたのですが、どうやら他の見積りに伺う前に私の方の見積りにきてしまったらしく(つまり、本当は18時過ぎに優先的にいくところがあった)上司の怒っている声がなんとなく聞こえてきます。「おいおい大丈夫かよ」と思いながら私は待つのみ。10分くらいしてやっと見積りができたようでした。

そして緊張の一瞬がやってくる

 「すいません。お見積り金額がでました」。はいはい、おいくら万円でしょう。という感じでiPadを見るのですが見積りの金額が出ていません。「今回、3名様のお引っ越して、場所は●●区。9階のお部屋ですね~」という感じで、内容の確認を始めています。いやいや、早く見積りをみせてくれよ。その雰囲気を察したように「では、見積りをお見せします」と言います。しかし、見積りは見せてくれず「はあ、はあ」となぜか呼吸が荒くなっているのです。

 「え?もしかしてめちゃくちゃ緊張してる?」。私が聞くと、「はい、めちゃくちゃ緊張してます。この瞬間が一番緊張するんです」と営業さん。「まあ、基本的にお客さんの興味って見積りしかないからね。仕方ないんじゃないの」と私。ではいきますよーー!どーーーん!!!△△万円。・・・いや、高いのか安いのかわかんねぇ。ただ、交渉を前提とした金額ではあるんだろうな、みんな値切ってくるだろうから・・

なんとなくOKしてしまったのが悔やまれる

 「いやー、正直、この数字がどうかってわからんのよ。他社と比較してみんと」。「いやいや、がんばるのでウチに決めてくださいよ」と。いや、その「がんばる」って何よ。そのがんばるがどんくらいがんばるなのかもよくわからんのだ。ただ、他社の見積りを取るのも面倒だしなー。そう思い、結局、見積り金額から25%くらいの値引きで着地。

 あとから引っ越し相場のWEBサイトを見てみました。3名の引っ越しでこの金額は高いんじゃないかという感じ。営業さんは「見積り=工数(人数×時間)」だと言い、それは間違いないと思う。ただ「時間」の見積りがけっこうズレてるんじゃない?と。

引っ越し業者さんは教育が行き届いてますね

 依頼した引っ越し屋さんの営業所は自宅マンションの近く。ということで、当日は朝イチの作業に。これは事前に連絡をもらえていて、朝イチは非常に助かる。予定どおりの8時ピッタリにきてくれた。作業員の方は3名だったのだけれど、たぶん2名はアルバイト。社員らしい方が最初にご挨拶にきてくれたのだが、物腰が優しすぎ。見た目も話し方も「シソンヌのじろう」っぽい感じ。とにかく、強気で意見を言う気持ちが削がれてしまうような物腰なのである。

 細かい荷物をすべて段ボールにまとめ、しかもすべての荷物自体を同じ部屋へ事前に集めておいたのでサクサクと作業が進む。我々家族はそれを横から見ているだけ。30分で段ボールと家具の搬出が終わり、洗濯機や冷蔵庫の大物家電に取り掛かる。このあたりで結局20分。9時前には搬出の作業が終わってしまった。アレ?搬出で120分を見込んでいたような。まあ、早く終わる分にはそれはそれでうれしいのだが。

謎のクロスセル戦略を仕掛けられた

 ここから引っ越し屋さんも私も新しいマンションまでそれぞれ車で移動。朝の時間帯ということもあり渋滞がすごかった。通常だと20分くらいの距離なのだが、倍ほどの時間がかかる。私が引っ越し先のマンションについたのが、9時半すぎ。引っ越し屋さんがマンションについたのが10時ちょうどくらい。見積り時点のスケジュールよりも1時間弱早いペース。

 搬入で冷蔵庫を設置するときにシソンヌじろう似のスタッフさんから提案が。「冷蔵庫なんですけど、マットを敷いた方が床が傷まないんですよ。よろしければ購入されませんか」と。なんと、いきなりのクロスセル戦略!おそらくマットは普通のアクリル板なのだが、冷蔵庫を設置するこのタイミングしか判断ができない。(後から買いにいって設置し直しは面倒)。高い決断力が必要とされる事態に。

 ここで思ったのは冷蔵庫マット以外のクロスセル戦略を繰り出されるのではないかと。洗濯機で何か、テレビで何かとか繰り出されまくったらお金が足りませんぜ。不安をかかえながら様子をうかがっていたのだが、これ以上のクロスセル戦略はなし。

「どうでもよくなった」状態の重要性

 搬入が終盤に差し掛かると、実母、義父、義母が開封作業をはじめ室内は無法状態に。カオス状態の中、いつの間にか搬入は終了。人々の間を縫ってシソンヌじろう似のスタッフさんが「すいません。作業が完了しましたので、お会計になります」。裸のまま現金をお渡しして、なんだかよくわからないまま引っ越しが終了した。

 トータルの時間で換算すると見積りのときよりも30分以上は短かったと思うのだが(渋滞がなければ1時間)、まあそんなことはどうでもよくなってしまった。商売において、この「どうでもよくなった」状態って何気に重要かもね。搬入が終わった瞬間、頭の中は引っ越し屋さんより、家のレイアウトになるだろうから。

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カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 9.Eコマースこぼれ話

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから