PDCAをしっかりと回せる組織をつくるにはどうすればいいのか。前編【no.1996】
EコマースのPDCAを回せる組織をつくるにはどうすればいいのか。前編です。
Eコマース事業が黎明期から成長期、成熟期にはいってくる。成長のフェイズを経る中で悩まれる事業者の方が多いと思います。今回のECMJコラムは「PDCAを回せる組織づくり」について。
*Eコマース事業成長のためには組織・人材のレベルアップが不可欠
Eコマース事業を成長させるためには組織・人材のレベルアップが不可欠です。ご存じのとおり、Eコマースは商圏のない世界です。ヒット商品が生まれると全国から受注が集中します。想定以上にみるみる事業が成長する可能性もあります。しかし、その成長は永遠には続きません。どこかから聞きつけて、必ず競合商品を取り扱うネットショップが出てきます。
黎明期から成長期にかけてのEコマース事業のテーマは「どんどん大きくする」こと。もしも広告費の費用対効果が合うならば、「お金をかけて」事業を拡大していきます。そして多くの場合、成長期のネットショップにおいては「広告をかければかけるほど」売上も利益を上がる状態が続きます。利益を広告に再投資し、さらに事業を拡げていくわけです。
私がEコマース業界に足を踏み入れた2005年、2006年ごろは業界自体が成長期にありました。「お金で売上と利益を買う」ことができる状態が続いていたのです。もちろん、現在自体はEコマース業界自体が当時よりバブルな傾向にはありません。
*Eコマースを「どんどん大きくする」から「筋肉質にする」フェイズに
しかし、必ず成長期は成熟期に取り込まれます。先ほど書いたとおり、Eコマース業界もしかり。また、自社の商材ジャンルの業界もしかり。そして、自社のヒット商品もしかりです。どこから情報が漏れたのか、競合ネットショップや競合商品が必ずあらわれます。インターネットは「真似の世界」ですから、オイシイ情報はすぐに伝達されてしまうのです。
このとき大きなポイントになるのが、マーケティング戦略の変更です。それまでの「どんどん大きくする」から「筋肉質にする」フェイズに戦略が変わります。とにかく「お金で売上と利益を買う」フェイズではありません。成果をきちんと分析し、費用対効果をみながらリソース投資を進める戦略です。そしてこの戦略変更において重要なポイントがあります。それが、「組織・人材の意識改革」なのです。
*Eコマースの「PDCAを回せる組織」をつくるために必要なのは「会議」
それまでは「お金で売上と利益を買う」状態が続いていたわけです。組織と人材の仕事は「細かい数字をみる」より、「スピーディに手を打つ」が基本です。しかし、成熟期の戦略は「データの見極め」「改善策の検討と実施」「成果検証」をしっかりおこなう。つまり、「PDCAをしっかりと回せる組織をつくる」ことがポイントになります。
「ただ目の前の業務を回す」ことに慣れているスタッフの方がいるとします。おそらく「PDCAをしっかり回す」ことへの「組織・人材の意識改革」は簡単ではないでしょう。ましてや、それまで「仮説、実践、検証」を求めていなかった組織です。スタッフの一貫性がズレ、大きな反感を買うこともありえます。しかし、一度成熟期に入った市場が成長期に戻ることはないのです。
「PDCAを回せる組織」をつくるために必要なのは「会議」です。与えられた仕事を回し、仕組み的に売上と利益が上がる会社は会議が少なくなります。仕組みで売上があがっているわけですから、大変結構なことです。しかし、「PDCAを回せる組織」はスタッフ個々人の判断力のレベルアップが求められます。会議を活用して「仮説、実践、検証」を回す訓練をしなければいけません。
次回はこちら。
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