相互理解の溝は「知識」ではなく「経験」で埋める【no.1854】
先日のセミナーでこのような質問をいただきました。「マーケティングチームメンバーの相互理解の溝を埋めるためにはどうすればいいですか?」という質問です。
この会社さんはEコマースのチームを組織しています。ただこれまでの社内での経験、前職での経験はそれぞれまちまちで、デジタルを活用したマーケティングに詳しい人とあまり詳しくない人の溝が大きいというのです。また困ったことに、マーケティングに詳しい人が必ずしも情報共有であったり説明であったりが上手ではなく、チームとしての相互理解の溝が課題になっているとのこと。
今回のECMJコラムは「組織の理解を標準化」させるための方法についてです。
まずマーケティングチームメンバーの理解を標準化させるため、問題になるのは上記の「マーケティングに詳しい人(しかし、情報共有や説明は苦手)」「マーケティングにあまり詳しくない人」うち、前者の「詳しい人」が持つ知識の扱い方です。
「マーケティングに詳しい人」本人からすればこれまでの知識や経験からチームに貢献できるものが多いと考えていると思いますし、本人にその気があることは大変けっこうなことではあるのですが、自身が有している知識や経験が必ずしも「現在の自社のマーケティングにおけるミッション」と合致するかといえばそうではありません。知識や経験が足かせになってしまう可能性もあります。
またデジタル活用におけるマーケティングの知識は、書籍やWEB、セミナー・講演等で日々インプットすることはできますが、いずれの知識も「今日の自社のマーケティング活動に必要になるか」というとまた別の話です。むしろ「本当は今必要ない」知識を持っていることが、「今の選択と判断」をわかりづらいものにしている可能性すらあります。
大切なのは自社のマーケティング活動を展開し、その道を進む過程で出会った課題をデジタルの活用によってどう解決するかを考えることです。つまり、課題に直面するまでは余計な知識をつけないことです。自社にとって必要なマーケティングの知識は、自社のマーケティング活動を展開する中で得ていけばいいのです。まず知識を得ることばかりが優先されると、マーケティング活動が進まなくなります。
先に情報収集を積極的におこないすぎてしまい、行動する前から「良い方法」ばかりを考えてしまう会社さんも多いのではないでしょうか。実際の課題はマーケティング活動を進める中で上がってきますし、行動する前の情報は間もなく陳腐化してしまう可能性もあります。
マーケティングチームメンバーの相互理解の溝を埋めるためには、全メンバーが同じマーケティング活動の道を歩んでいくことです。全メンバーが同じ経験をし、同じ課題の解決策を考えていけば、自ずと相互理解の溝は埋まっていきます。チームメンバーのマーケティングに詳しい人は、チームが課題に当たったときだけ自身の知識を役立てればいいのです。課題はチーム全体で共有されているわけですから、知識もより深く理解できるものになります。
ではどうやってマーケティング活動を進め、そこから課題を見つけ出していくか。マーケティングの運用サイクルをつくるためには、サイクルの「軸」が必要になります。その「軸」がECMJのコンサルティングが活用している「数値管理表」です。日々「数値管理表」を回していく。このサイクルを「軸」にして課題を抽出し、解決策を検討していくのです。
マーケティングチームメンバーの相互理解の溝を知識のみによって埋めるのではなく、経験によって埋めることを考えてみてもらえればと思います。
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