「ペルソナ」と「ロイヤルカスタマー」が相反する場合の対応策【no.1782】
「ペルソナ」と「ロイヤルカスタマー」というふたつの「顧客」。この両方を設定している会社さんも多いと思うけれど、「相反する」部分がある会社さんもいると思う。
*「ペルソナ」は自社が設定する「顧客像」
「ペルソナ」とは自社自身が設定する商品やサービスのユーザー像(顧客像)になる。一般的な考え方として、「ペルソナ」はできるだけ詳細に決めていった方が良いといわれている。
男性か女性か、年齢はいくつなのか、住まいはどこか、どんな仕事をしているか、年収はいかほどか、家族構成はどのようなものか、休日は何をしているか、お酒は飲むか飲まないか、どんな志向性を持っているか。顧客像をより詳細に決めていき、商品やサービスのユーザー像を「どこかにいるだろうひとりのお客様」に設定していく。これが「ペルソナ」になる。
そして、商品やサービスの提供側、つまり我々はこのひとりの「顧客像」に満足し続けてもらう、興味をもらい続けてもらうための提案を検討し、続けていく。雑誌などはわかりやすい例で、たとえば月刊誌だとしたら「どこかにいるだろうひとりのお客様=ペルソナ」を想像しながら、「この人はこの時期にどんな情報を欲しがるだろうか」をイメージして年間12回の企画を作成していく。
*「ロイヤルカスタマー」は自社のサービスの利用者
「ロイヤルカスタマー」は自社の商品やサービスを継続的に利用してくれているお客様になる。「ペルソナ」と異なるのは、「ペルソナ」が自分たちで設定するものであるのに対して、「ロイヤルカスタマー」は現実にサービスを利用してくれた方であること。
ただ、「ロイヤルカスタマー」を自社の商品やサービスを継続的に利用してくれているお客様と紹介したが、一概に「継続的に利用してくれている」方がロイヤルカスタマーになるわけではなく、ここは自社の中でも定義づけが必要になる。商品やサービス利用の継続性(年月、回数)でも良いし、利用金額の大小でも良い。また、利用はしてくれていないがSNSやブログで頻繁に情報発信をしてくれているお客様も「ロイヤルカスタマー」と言える。
自社の商品やサービスを利用してもらうだけではなく、広く認知してもらうためには「コアファン(中心になるファン層)」の方が重要になるわけ、このあたりは「ロイヤルカスタマー」の定義が時代とともに変わってきて然るべきだとも思う。
*「ペルソナ」と「ロイヤルカスタマー」が異なる場合
問題があるとすれば、というか問題があるわけではないのだけれども、商品やサービスの顧客像として自分たちが設定した「ペルソナ」と、現実に自分たちの商品やサービスを頻繁に利用してくれている(情報発信してくれている)「ロイヤルカスタマー」が異なるという場合がある。むしろ、イメージした「ペルソナ」に利用してもらえるというケースの方が稀で、実はまったく異なったところにお客様がいることも多い。
この場合、自分たちが理想とする「ペルソナ」を追うよりも「ロイヤルカスタマー」のお客様の分析をより深めて「ペルソナ」のイメージを少し調整する方が現実的な策だと思える。もちろん、「ペルソナ」をしっかりと追っていくという考え方もあるが、その場合、現在の「ロイヤルカスタマー」を最終的には(お客様として)選ばないことになる。ここは理想を追うために目をつぶるしかない。
大切なのは「お客様と会う」機会をつくることではないだろうか。実際にお客様にお会いすることで「ペルソナ」と「ロイヤルカスタマー」のズレをはっきりと感じることができる。特に、オンラインの取引の場合はお客様を見る、お客様と話す機会が少ないので、年に2~3回はお会いする場を作った方が良いでしょうね。
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