「費用対効果」「Win-Win」「ROI」って言葉って・・【no.1770】
費用対効果、Win-Win(以下、ウィンウィン)なんて言葉があります。
費用対効果は、かけたコストに対して戻ってくるリターンがいかほどなのか。割に合っているのかという意味。「費用対効果が高い」なんて表現をします。
ウィンウィンはビジネス上の関係の話。お互いにメリットを得られる提案や状態が「ウィンウィン」。一方がメリットを得られもう一方が得られないとすれば「ウィンルーズ」。お互いデメリットしかなければ「ルーズルーズ」なんて表現をします。
ともに使っているとなんだか「賢く」みえる言葉です。しかしこの言葉を早い段階で使う人って、ちょっと危ないと思うんですよね。
*費用対効果は長い目線でみないとわからない
費用対効果は、かけたコストに対して戻ってくるリターンがいかほどなのか、割に合っているのかという意味で使われる言葉です。マーケティングの本やセミナーなんかでよく登場する「ROI」という言葉とも同義です。「ROI」は「リターンオンインベストメント」つまり「投資対効果」ですね。
以前、ECMJの役員報酬について他社の方に話したことがあります。そこで「それって費用対(効果)的にはどうなの?」と聞かれたことがあるんですね。まあ、ビジネスマン的には「賢く」みえるようなツッコミです。役員がいることによる「費用対効果」なんて正確にはかれません。
このケースだと「費用」の部分は「役員報酬」になるので明確なのです。「効果」は売上かもしれないし、知名度かもしれないし、信用かもしれない。でもそれらは必ずしも数値化できるものではありません。「いま」数字に表れてくるものではないかもしれないじゃないですか。
「ROI」や「費用対効果」はある程度ビジネスを進めて、その効果が読めるようになってきたら使う言葉です。早い段階で使う人ってちょっと危ない。
*ウィンウィンは「わたしは必ずウィン」
ウィンウィンという言葉。これも相手との信頼関係ができて、流れが見えてきたときに使う言葉です。初めて会った際に「弊社はウィンウィンを大切にしています」とか言い出したら、ちょっと警戒してしまいます。ウィンウィンという言葉を使う人は「わたしは必ずウィン」を主張しているから。
これも費用対効果やROIと同様です。最初からウィンウィンかなんてわからないじゃないですか。いまはウィンルーズでも長い目線でみればウィンウィンになるかもしれません。将来の大きなウィンのために「いま」ルーズを取っておかなければいけないこともある。
「取引を(変なかけひきなしで)フェアにやりましょう」というのならわかります。「ウィンウィン」という言葉を最初に出してくる人。「少なくともわたしは必ずウィンですよ」という自己主張です。
*費用対効果、ウィンウィンの本心は
費用対効果を多用する人の本心は、「(一方が泣いても)費用はできるだけおさえて、できるだけ大きなリターンが欲しい」。ウィンウィンを多用する人の本心は「(あなたは仮にルーズだったとしても)少なくともわたしは必ずウィンを取りますよ」の可能性が高いです。関係性ができていないうちに電話やメールでこの言葉がたくさん出てきたら要注意かも。
目先的な「費用対効果」や「ウィンウィン」や「ROI」にこだわるのは、もしかしたら自社(や自分)に余裕がないことの裏返しなのかもしれません。使うとなんだか賢いっぽいんですけどね。
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