マーケティングの卒論に必要な「ワンポイント」とは【no.1699】
年末のクリスマス前のことなのですが、ECMJも加盟していて石田が理事も務めている協同組合ワイズ総研の忘年会がありました。
協同組合ワイズ総研が親会だとして、子会的なポジションで「八志会」という団体があります。この団体は東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学などの旧帝大の卒業生を中心とした社会人勉強会なのですが、すでにワイズ総研と八志会はあまり垣根もなくみんなでワイワイと忘年会をやるわけです。
たまたま私の前に座っていたのが団体でインターンをしている学生さんでした。その学生さんと某監査系コンサルティング会社勤務社会人(と私)が興味深い話をしていたので、少しオブラートに包みつつ紹介したいと思います。
*学生さんが卒業論文で書きたいこと
その学生さんはこの春で4年生。すでに休学することが決まっていて、2年ほど留学をする予定とのことですが、将来はスポーツビジネスの道に進みたいと話してくれました。「スポーツビジネスって、たとえばJリーグの運営とかBリーグの運営とかそういうこと?」と聞くと、スポーツ「アパレル」ビジネスの経営に携わってみたいということなんですね。「アンダーアーマーとかそういうブランドみたいな?」と聞くと、頷いてくれました。
この学生さんが卒業論文として「スポーツブランドの実店舗とEコマースの売上規模」について書きたいと考えているとのこと。実際に実店舗ではスポーツブランドのアパレルやシューズは売れているのか、Eコマースの影響はどれくらいあるのか、そこを今後のマーケティングと合わせて論文にしたいとのこと。ECMJのようなリアルとネットの両方のマーケティングに携わっている立場からすると「すごく的を射た」論文になりそうだと思い「すごいこと考えるね」と感心したのですが、隣にいた某コンサル会社の彼(Aさん)は「あと1点、ポイントを押さえていたら是非その論文を買いたい!」と。
*組織、現場は果たしてどうなっているのか?
実はAさんはコンサル会社に転職する前に某レンタルビデオ会社で働いていました。レンタルビデオ会社というか、すでにデータ活用の会社に成長したあの会社です。前職で働いていたときの経験をもとにして、学生さんに「あと1点のポイント」を教えてくれました。
実店舗とEコマースの売上規模、成長の違いやスポーツブランド自身の実店舗とEコマースサイトの打ち出し方の違い、これまでの施策を分析すること、これは学生さんも卒業論文の内容として考えていることです。この他に、実店舗もしくはEコマースを成長させるためにスポーツブランドがとった「組織・体制の変化」を研究することができたら非常に価値のある(お金を出してでも読みたい)論文になるのではないかのこと。
仮に実店舗をスポーツブランドの「体験の場」、Eコマースサイトを「購入の場」と会社の経営陣が定義をしていたとしても、実店舗とEコマースの目標売上が別々になっていたり、Eコマースがない時代の評価制度をとっていたりしたならば、会社が掲げたとおりに現場は動かないはずです。実店舗とEコマースの良い部分を両面活用するにあたって、会社が「組織をどう変えたか」ここが「あと1点のポイント」というわけでした。
*リアル×ネットを活かすためには組織改革が必要
ECMJコラムでも何度か書いていますが、デジタル化(IT化でもほぼ同義)の本当のポイントはツールやシステムやノウハウ、はたまた成功事例などではなく、組織の変革です。企業において特定の部署だけデジタル化をすることはありえません。デジタル化とは「土台を変える」話です。学生さんとAさんの話を聞きながら、企業におけるデジタル化の課題意識について学びなおすことになりました。
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