売上目標から逆算できるEコマースの「会計数値」と「事業数値」【no.1592】
(2018年4月のコラムです)
その昔むかし、8年ほど前は「2シート理論」なんて表現していましたが、Eコマースの面白いところは「売上目標」が決まるとネットショップから生み出される想定利益と、売上目標に至るまでの評価指標が明確になるところなんですね。
ECMJ的な表現として前者を「会計数値」、後者を「事業数値」なんて言ったりしているのですが、「事業数値」はなかなかリアルビジネスにはなかった考え方なのではないでしょうか。
*Eコマースの「会計数値」
ネットショップの「売上目標」が決まると、最終的に会社に残る利益を想定することができます。
「売上目標」からまず引かれるのは「商品原価」です。仕入れ小売りのネットショップであれば掛け率が決まっていることも多いと思います。オリジナル商品でも値付けから「商品原価率」「粗利率」が計算できるはずです。販売した商品の数は発送した件数によって変わるのが送料。梱包の資材やアルバイトさんの作業料も計算しなくてはいけません。
Eコマース運営で切っても切り離せないのが「システム利用料」になります。自社サイトのシステムやショッピングモールのシステムを利用する際にかかる出店料やロイヤルティ。クレジットカード決済を導入しているネットショップがほとんどですから、カード会社への決済手数料もかかります。またショッピングモールでのネットショップ運営ではポイントの手数料もあるはずです。
場合によって加わるのが「広告費」です。広告費ゼロでネットショップを運営している会社もありますが、売上に対して5%から10%ほどの広告費を使っているネットショップも多くあると思います。ネットショップに関わる人件費やオフィス賃料などの固定費をどこまで入れるかにもよりますが、「売上目標」を決めた時点で「会計数値」が決まり、想定の利益が算出されます。
*Eコマースの「事業数値」
お客様のネットショップへのアクセス状況や新規顧客とリピート顧客の割合、商品ページ別の転換率の変化などの数字を日々確認することができるのがリアルビジネスには無いネットビジネスの面白さです。ネットショップの「売上目標」が決まると、そこに到達するための評価指標を算出することができます。
ネットショップの売上の公式というものがあります。ご存知の方も多いと思います。「売上=アクセス人数×転換率×客単価」。何人のお客様がネットショップに来店したか、何パーセントのお客様がネットショップで購入してくれるか、お客様は1回の買い物でいくら購入してくれるか、これを計算したものが「売上」です。
まずは現状のネットショップの数字を「売上=アクセス人数×転換率×客単価」の公式にあてはめてみましょう。そして「売上」の部分を「売上目標」に変更します。「アクセス人数×転換率×客単価」はどう変化するでしょうか。売上目標達成するためには「アクセス人数」「転換率」「客単価」を上げなければいけないことがわかるはずです。問題は「どの数字をどれくらい上げることができるか」の予測になります。
ひとつのポイントは「アクセス人数」とは「新規顧客+リピート顧客」だということです。評価指標はさらに因数分解をすることができます。どこにより注力して数字を変えていけそうかを判断するための材料になるでしょう。
*リアルビジネスもデジタル化している
スマホの登場、通信の発達などテクノロジーの向上によりリアルビジネスもデジタル化をし始めています。実店舗などのリアルビジネスがデジタル化することでEコマースとまったく同じマーケティングが展開できるようになるはずです。リアルビジネスでも「2シート理論」を活用できる日が遠くないかもしれません。
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