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カルディに入るとコーヒーが飲める、こと自体が戦略【no.1541】

 カルディに入るとコーヒーが飲める、こと自体が戦略だと思うんですよね。

 ショッピングモールを歩いているとやけにお客さんが入っている店があったんですね。それはカルディ(KALDI)コーヒーファームでした。以下、カルディで。

*カルディはそれほど差別性のあるラインナップではないような気も・・

 カルディはコーヒー豆や世界各国の食材・お菓子・お酒などを販売している実店舗です。まだ利用したことはないですが、カルディの自社Eコマースサイトもあるようです。

 お店はいわゆる「輸入食品」のようなスタイルです。一般的のスーパーやコンビニに置いていないニッチな商品を取り扱っているお店です。そして国内だけで400店舗まで拡大しているようです。ですから、商品ラインナップや売れ筋分析や仕入れに強みがありそう。でもこれまでも「輸入食品」的なお店ってあったと思うんですよね。

 カルディの実店舗で、その違いに気づくのは店頭で無料のコーヒーをもらえることです。

*お客さんが「カルディに入る理由」をつくる

 カルディに入ったことのない方に説明をします。カルディでは店頭(お店の入り口)で淹れたてのコーヒーを配っているんですね。スタッフの方が小さい紙コップにあったかいコーヒーを注いで手渡してくれます。「コーヒーを飲みながら店内を見てみてください」という声をかけてくれるわけです。

 この「コーヒーを渡す」という販促がカルディ内のどういう経緯で始まったことなのか。また、いつから始まったことなのか。それはわかりません。ただ、様々な改善をおこなった中で見つけたクリティカルヒットだと思うんですね。なによりお店の前を通ったお客さんに「カルディに入る理由」をつくることができます。

 たとえばスーパーの試食はその場で食べて買うかを決めなければいけません。そして多くの場合、興味はあっても断りづらいので試食すら敬遠してしまいます。それに比べてコーヒーを飲みながらお店を「回遊」するのは高くないハードルですよね。

*「コーヒーが飲める」というブランドをつくる

 やはり大切なのはカルディで「淹れたてのコーヒーを手渡す」ことではないでしょうか。あくまで知っている限りですが、どのカルディでももれなくコーヒーを手渡しています。この「カルディにいったらコーヒーが飲める」を徹底し、ひとつのブランド認知をつくっているのだと思うのです。

 しかも素晴らしいことに「コーヒーを配る」販促はほとんどお金がかからないという。当然、自社で仕入れたコーヒー豆を使っているのでしょう。そしてごく少量ですから1杯5円もかかってないんじゃないですかね。1杯5円でお客さんに「お店に入る理由」をつくれているのなら十分です。実店舗に入ってもらうためにこんな「工夫」をしているところは他にないでしょう。

 「戦略」という言葉は難易度が高く、そして高尚なものに感じます。カルディの「コーヒーを配る」というのはあくまでひとつの「工夫」です。難しいものでも高尚なものでもないように感じます。しかし、これを徹底して「カルディではコーヒーが飲める」とお客さんに認識してもらうこと。これは立派な「戦略」といって良いのではないでしょうか。

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カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから