ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの送料問題はAmazonの成長を助長する?【no.1521】

 ネットショップの送料の値上げが相次いでいます。

*この半年の送料値上げの問題について

 昨年の10月から11月にかけてヤマト便の配送料金が上がりました。自社のネットショップで設定している送料や商品価格をさすがにいじらなくてはいけないところも多かったかと思います。ヤマト便の値上げによって日本郵便(ゆうパック)に配送会社の軸を移動させたネットショップもあります。ただ年末商戦でさすがにパンクをしてしまいました。

 そして2018年。さらなる配送料金のアップの噂があります。タイミングとしては4月前後。佐川急便かといわれていますが、他の配送会社でも配送方法のルールが変わるなどの動きがありそうです。

 普通に考えて仕事が増えれば増えるほどコストは圧縮されていくはずです。ここが謎ではあるのですが、通販(ネットショップ)の利用が増えたことにより、再配送の負担が増えたり、ドライバーが確保できなかったり(必然的に人件費が上がる)したことで利益が出なくなった、というのが配送会社の理屈です。

*私の身の回りで気づいた変化

 ネットショップを運営する側、商品を発送する側ではなく、配送会社に「届けてもらう」ユーザーとして最近気がついたことがありました。

 ひとつは配送会社が「再配達の連絡をしないと」商品を届けてくれなくなったこと。以前は郵便ポストに不在票が入っていて再配達の連絡を忘れてしまっていても、再度配達をしてくれることが多かったように感じます。その結果、不在票が複数溜まるという申し訳ない事態も起こっていたわけですが、今年1月からの郵便については「再配達の連絡をしないと」商品を届けてくれなくなりました。

 ここはサービスとして「良いか悪いか」は意見が分かれるところでしょう。

 もうひとつはゴルフ便の値上がり。これは昨年の10月から施行されていたことのようなのですが、ヤマトのゴルフ便だと、120サイズが140サイズ運賃になり、目安として1,300円が1,680円。30%近くの値上げということになります。つい先日、ゴルフ便を利用する機会があり、以前は往復で2,700円程度だったものが、3,400円を超えていて一瞬手が引きかけました。(といっても、送らざるを得ないのですが)

*お客様側からみたときにより「お得」にみえるモール

 配送会社の値上げに対する自社のネットショップの対応はいくつかのパターンに限られます。送料据え置き、送料値上げ、商品価格で調整、トータルの利益率で管理などになります。また、楽天市場やYahoo!ショッピングなどショッピングモールに出店している各ネットショップ、そして各自社サイトのネットショップでもそのルール変更はそれぞれです。

 お客様の側、ネットショップを利用するユーザーの側からみたときに、一番わかりやすいのはAmazonのAmazonプライム便ではないでしょうか。年間3,900円を支払うことでプライムの商品は送料無料。配送会社の値上げの以後も、このAmazonプライムには「動きがないように」みえます。もちろん、現実には利益調整のための動きがあるかもしれませんが、あくまでいちユーザー側としてです。

*Amazonの独自路線はどこまで進むか

 お客様側、ネットショップを利用するユーザーの側からみると「Amazonで買えるものはよりAmazonで」の動きが助長されるのは間違いなさそうです。そしてAmazonの立ち位置とボリュームからすると、気になるのはAmazon自身が配送会社を始めるのではないかということです。プライムnowのサービスを考えると一部、自社配送の仕組みを整えているともいえます。

 裏の事情はわかりません。業界としての抵抗や慣例などもあるかと思います。ただAmazonの規模であれば自社配送の仕組みの完全構築とはいかなくても、配送会社のM&Aですらありえるのではないかと思ってしまいます。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから