「リアル×ネット」のクロスメディアマーケティング。2【no.1439】
「リアル×ネット」のマーケティング、続き。
現に、リアルの世界でもネットと同じようなマーケティングが展開できるようになりつつある。
ネットのマーケティングの特徴は固有IDが存在すること。Amazonや楽天市場やYahoo!JAPANの会員登録はそのまま「顧客ID」になるのはもちろんのこと、IPアドレスでも「誰だかはわからくても」固有のIDを設定することができる。これも「顧客ID」のようなものだ。
これによって可能になるのが、顧客軸のマーケティングということになる。WEBサイトに訪問したある特定のユーザーAが初めてWEBサイトにアクセスしたのか、それとも複数回WEBサイトにアクセスしているのか。どのページを閲覧したか、そのページ何分滞在したのか。Eコマースならどんな商品を購入し、どんな商品を買い物カゴから落としたのか。「顧客ID」があるからこそ、顧客軸のマーケティングが実現できるわけだ。
ではリアルはどうか。これまでリアルの世界には「顧客ID」は存在しなかった。例えば実店舗のPOSレジは「どんな商品が購入されたか」のデータを取得することができるが、「どんなお客様が購入したか」のデータを取得することができなかった。それが会員カードやICカードの登場によって「どんなお客様がどんな商品を購入したか」のデータを取得することができるようになった。ただ、これでもリアルではわらないデータがあった。「買わなかった」お客様のデータだ。
ポイントカードや会員カードを利用することで「どんなお客様がどんな商品を購入したか」を分析することができる。でもそれはあくまで「レジを通過したお客様」についてだけのデータだ。飲食店など「来店したお客様が必ず店舗を利用する」ならまだしも、コンビニエンスストアやアパレルショップなどは、お客様が来店しても商品を購入するか否か「店舗を利用するか否か」がわからない。ここがネットに比べるとデータの弱い部分ではあった。
昨今、このデータの問題も解消されつつある。ネットの世界と同じように「アクセスしたけれど利用せずに離脱してしまったお客様」のデータがわかるようになった。ここにはいくつか方法がある。ひとつはiBeaconを使った分析、もうひとつはwifi接続を使った分析、そして最後に顔認証システムを使った分析。それぞれに一長一短があり、法的な規制の問題もあったりするのだが、リアルの世界でも「アクセスしたけれど利用せずに離脱してしまったお客様」を分析し、ビジネスを改善する方法が生まれてきているということだ。
そして、これらの仕組みは一部の大企業だけしか導入することができないシステムではなく、中小零細企業ももしくは個人事業主も遠からず導入ができるようになる。ちょうどインターネットの分析データのメインであるGoogleアナリティクスが大企業でも中小零細企業でも個人でも同じように無料で扱うことができるのと一緒だ。デジタル化はネットだけのものではなく、リアルにも浸食し始めている。だからこそ「リアル×ネット」のマーケティングが必要になる。
大企業だけではなく、中小企業のこれからのマーケティングとして考えていきたいのが「クロスメディア」のマーケティングだ。クロスメディアのマーケティングとは、お客様であるユーザーが「リアル」と「ネット」を行き来して日々のライフスタイルを作っていることを見越して、「リアル」と「ネット」の両面のマーケティングを展開しながら、統一のデータで分析をし、「リアル×ネット」の最適化をはかっていくためのマーケティングということになる。
「リアル×ネット」の比重は対象顧客(ペルソナ)によって異なる。クロスメディアのマーケティングによって顧客像に合わせた仕掛けを展開していくのだ。
つづく。
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