ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ヘッダーにたくさんの商品バナーを貼ってるネットショップって‥【no.1324】

 先日、たまたま実家に帰っていたときに、母親に呼ばれました。「ちょっと、楽天市場で買い物をしたいから、教えてもらっていい?」と。

 その前に母親が電話で話す声が聞こえ、「えー、何度クリックしても同じページに戻っちゃうんですが・・」と言っていたので、何かあると思ってはいたのですが。どうやらネットショップに電話をしていたようなんですね。

*何度も同じページに戻ってしまうのはなぜか?

 母親が開いているパソコンのブラウザをみると、とあるショップが開いていました「どの商品を買えばいいの?」と聞くと、パソコンの前にあるメモに商品の型番らしきものが書いてあります。「この商品なんだけども、こうやればいいんだよね」。母親は自分でマウスとキーボードを触って、確認するんですね。

 ネットショップ内の検索バーに型番を入れる。型番を入れると検索結果の商品一覧画面に遷移する。型番はジャストなものだったので1商品しか表示されませんでした。そして商品一覧からその商品をクリックすると、商品ページに飛ぶ。のですが、「やっぱり、同じページに戻っちゃうんだよねぇ。なんでだろう」と母親はいいます。

 まあ、これはどういうことかというと、ネットショップで表示されるファーストビュー部分が同じであるため、「ページが戻った」ように感じるだけなんですね。ページをスクロールしていくと、商品画像が表示されます。検索バーから検索結果、商品ページと遷移した段階で、型番の商品ページにページは変わっているのですが、ファーストビューが同じであるため「同じページ=トップページに戻った」ように見えてしまうのです。

*ネットショップのヘッダーは共通理解ではない

 私が母親のマウスを借りてページをスクロールし、「ほらね。下の方にいくと、商品の画像と注文するのボタンがあるよ。この商品で大丈夫?」と教えます。「なんだぁ。下の方にあったのかぁ」と母親は理解してくれたようなので、私はテレビの前に戻ったのですが「あー、こういうパターンによる機会損失ってあるんだろうなぁ」と。

 母親は今年66歳になりますが、どちらかといえばパソコンやインターネットの扱いに慣れている方だと思います。インターネットは毎日触っているし、wifiとiPadをもって、ひとりで観光地を巡って写真を撮ったり、地域の情報を検索したり。ただ「ネットショップのヘッダーは全ページ共通の場合もある」というのは一般的な共通理解とは遠いのかなぁと。どこか「Eコマース業界の論理」になっているのかもしれません。

*お客様は情報を早く閲覧して取捨選択したい

 ネットショップのノウハウ本やショッピングモールの勉強会だとよくあるのが、この手の「ヘッダーに十分な情報を入れましょう」という話。ヘッダーは全ページ共通であることが多いし、商品詳細・商品画像に至るまでに必ずお客様がとおる道。だから売れ筋商品のバナーとか販促企画のバナーとか、「うちのネットショップのここを見てくだいよ」情報をヘッダーに入れましょうよ、と。

 個人的にはこのノウハウには疑問を持っています。お客様は検索結果や商品一覧で「何かを選択して、次のページ至っている」はずなので、その情報をできるだけ早く閲覧して取捨選択をしたいはず。いくらネットショップとしておすすめの商品や販促だったとしても、お客様が欲しがっている情報を提供する方が先なんじゃないかなぁと。ヘッダーのバナーは否定しませんが、1行、小バナーを2-3コで良いのではないでしょうか。

 ましてや、今回のうちの母親のようにファーストビューがどのページも一緒になってしまうまで情報を詰め込むと「同じページに戻っちゃうんだけど・・」ということにもなりかねません。「ヘッダーのあり方」を見直す会議をしてみるのも良いかもしれません。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 6.Eコマースの悩み

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから