ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

どのアイデアが一番いいかなんて、わかっているようでわからない。【no.1316】

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「結果から答えを探していく。これがネットの面白さだね」鬼切社長の言葉に、七海さんも友花里さんも麻間(あさま)さんも、全員がほぼ同時に頷きました。

「逆にいえば、自分の中で答えを勝手に決めてしまうのは良くない、ということでもあるね。Eコマースに真剣に取り組むようになってから、それがわかったよ」鬼切社長が続けていいます。

「そうなんですよね。どのアイデアが一番いいかなんてのは、わかっているようでわからない。人はそれぞれ違う人生を歩んでいて、その中で違う価値観を養ってきているんですよね。だから、今回七海さんと友花里さんがつくってくれた5つの広告文に関しても、『クリック数』とか『費用対効果』という点では友花里さんの広告文が一番だったかもしれませんが、長い目でみたら七海さんの広告文の方が実は優れているのかもしれません」麻間さんがいいました。

「麻間さん、引き続きよろしくお願いしますよ。久々に打ち合わせに参加させてもらって、また新しい気づきがありました」鬼切社長はそういうと立ち上がり、会議室から退席していきました。どうやら次の予定が近づいてきたようです。鬼切社長が会議室のドアを閉めるのを待ってから七海さんがいいました。

「ただ、さっき社長もいってたけど、データとして一番クリックが取れている広告文と一番クリックが取れていない広告文はわかったけれども、それが『なんでなのか?』はまったくわからないですね。麻間さん、こういうときってどう考えればいいのでしょうか?」七海さんが麻間さんに質問をします。

「基本的にはここまで話に上がっているとおり、『100%これが理由だ!』というのはわかりません。ただ、今回友花里さんが最初に考えた『のんべぇさんにオススメ!わさび味の笹かまぼこが登場です。』という広告文を元にして4つのアイデアを出し、そのうち3つが元のアイデアの数字を上回ったわけですから、この3つについてはより広告文がブラッシュアップされたと考えるのが通常でしょうね」麻間さんがこたえます。

「ちょっと疑問に思ったことがあるんですが、前回七海のアイデアの『えっ!?初めての食感、初めての味、こんなおつまみはなかった!』が350クリック、私のアイデアの『のんべぇさんにオススメ!わさび味の笹かまぼこが登場です。』が700クリックだったと思います。今回が同じ広告文で500クリックだったと思うんですが、200クリック下がっている理由は何なのでしょうか?すごく初歩的な質問ですいません」友花里さんが聞きます。

「それは、広告の表示回数が違うからですね。前回は同じ検索キーワードに対して七海さんのアイデアひとつ、友花里さんのアイデアひとつの合計ふたつで広告を回していました。なので、広告の表示回数としては各々の広告文が『割る2』になっていることになります。今回の場合は、最初の友花里さんのアイデアがひとつ、その派生として七海さんのアイデアがふたつ、友花里さんのアイデアがふたつの合計5つですから広告文の表示回数も全体の『割る5』になっています。そもそもの広告文の掲載回数自体が『5分の2』になっているということですね」麻間さんはホワイトボードに割り算の式を書きながら解説をします。

「ちょっと待って・・!」そのとき、七海さんが大きな声をあげました。何かを発見したようです。「なんか、私のふたつ目のアイデアから注文してくれたお客様が他の広告文に比べて多いんですけど!」

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから