とあるBtoBの会社がインターネットを活用して事業を拡大する話。三【no.1205】
(前回はこちら)
小林はこの一か月間でインターネットに関する情報を様々調べてみた。インターネットを使って、ウチの会社に新規のお客様を増やすにはどうすればいいのか。インターネットを使って、ウチの会社が新規のお客様を増やすことは果たしてできるのか。
*ネット用語はアルファベット3文字ばかり
インターネットで「ネット活用 成功事例」と検索すると、いろいろな情報が出てくる。ただ、たしかに社長が指摘したように、インターネットの活用というとEコマースやネットショップについての成功事例が多い。しかも、どの成功事例も何で成功したのかがイマイチわからなかった。
第一、インターネットの言葉がわからないのだ。言葉だけを知っている「SEO対策」もなんのことやらわからないし、「PPC」やら「CPA」やら「LTV」やら「DSP」やら「CMO」やらアルファベット3文字の言葉ばかりが目につく。最初はアルファベット3文字が登場するたび、用語検索をかけていたのだが、その説明ですらよくわからない。ネットを見るのを諦めて、WEBサイトを閉じてしまった。
「う~ん、困ったなぁ。昨日からほとんど寝てないし」
社長に大見得を切った以上、それなりの解決案は提示しなくてはいけない。それは社長を納得させたいという気持ちもあるし、自分でなんとかできないかというプライドもある。飛び込み営業をもうやりたくないという気持ちもある。通常業務を終わらせてからインターネットについて調べているので、どうしても帰りが遅くなってしまうのだった。
小林は最初のうち、インターネットで情報を調べたり、インターネット関連の本を読んだりしていたが、どうも頭の中にスッと入っていかなかった。自分のペースで読み進めても、理解ができないから時間がかかるしつまらない。そこで、インターネット関連のセミナーを探し、参加してみることにした。セミナーのタイトルは、「驚異の売上10倍増を実現した、Eコマースの極意」。小林も知っている大手のITシステム会社が開催しているセミナーだ。
*繋がらないのだ、自分の会社や仕事、そして自分と
セミナーはITシステム会社の社員の司会進行で始まった。
「え~、皆さん、本日はお集まりいただいてありがとうございます。今日、参加されている皆さんはインターネットの活用の意識が高い方かと思います。今回は、売上10倍増を実現したネットショップをお招きして―――」
―――売上10倍増で年商50億円。たしかにすごい。ウチの会社もいきなり売上が10倍になったらどうなってしまうんだろうと思う。ただ、このセミナーにすごい以外の感想はなかった。当たり前だが、相手はBtoBの会社ではないし、印刷業の会社でもない。しかも、話の内容は10倍に伸びた理由(というか概要、詳細ではない)であって、これからインターネットを活用する会社はどうすればいいか?のヒントにはならなかったのだ。
繋がらないのだ、自分の会社と。繋がらないのだ、自分の仕事と。繋がらないのだ、自分と。
社長から指名を受け、いままでもいくつかのインターネット関連のセミナーに参加したことがある。しかし、そのほとんどが自分の会社や業務や自分自身に繋がるものではなかった。もちろん、自分に繋げなければいけないのは自分自身なのだろうが、そもそもインターネットの知識がゼロの状態で、学びを自社に繋げるのは少々無理がある。
ネットショップを運営する事業責任者の話が終わり、ITシステム会社の社員が登壇した。話の内容は、「売上10倍を実現したバックヤードシステムについて」。無料のセミナーとはいえ商売だ。売上を10倍にしたのは自分の会社のシステムのおかげだといわんばかりの内容だった。小林が知りたいのは、そんなことではないのだ。
つづきはこちら。
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