ZOZOTOWNのAmazonがやっていないサービスづくり。【no.1171】
ZOZOTOWNの動きが激しい。
11月にふたつの新しいサービスがリリースされたことをご存じの方も多いと思う。ひとつは、「ツケ払い」のサービス。もうひとつは、「買い替え割」のサービス。このふたつが今までのEコマースにはなかったサービスで、尚且つお客様のツボをクリティカルについているサービスで面白い。
後払い期間が圧倒的に長い「ツケ払い」
まずは、「ツケ払い」のサービス。
「ツケ払い」は11月1日にスタートしたサービスだ。商品注文日から最大2か月後に、コンビニ払いか銀行振込で支払いができるサービスで、ネットショップでのクレジットカード利用に抵抗がある方や、クレジットカードを持っていない若年層ユーザーに向けてのサービスとも言われている。ちなみに、「ツケ払い」の限度額は54,000円。利用手数料は1注文につき、324円ということだ。
ネットショップのシステムとして、商品が到着してからの「後払い」というものは以前からあったが、当然2か月後まで支払いを後回しにできるものではなかった。後払い期間が圧倒的に長いことと、「ツケ払い」というネーミングが大きなポイントだと思う。
このサービスは、この時期にリリースすることに意味がある。年末年始は人に会う機会が増える季節。オシャレをしたい季節だったり、プレゼントをする季節だったりする。当然、11月中旬からは年末商戦も入ってくる。アパレル商品を買いたい季節だ。
まあ、簡単にいえば、社会人だったらボーナス、学生さんだったらお年玉で「ツケ払い」してね、ということだろう。ZOZOTOWNのユーザーは高校生、大学生も多いだろうから、「ツケ払い」は非常に有効なサービスに思える。
「買い替え割」のサービスのポイントはむしろ「下取り」
そしてもうひとつが、「買い替え割」のサービス。
こちらは11月15日にサービスがスタート。ZOZOTOWNでの商品購入時に下取り割引をおこない、後日下取りアイテムを発送してもらう、というもの。ユーザーは過去にZOZOTOWNで購入した商品から下取りアイテムを選び、購入時に割引をしてもらうわけだ。こちらは、1注文につき20点まで。割引額は最大9,900円。
当然、割引サービスをおこなうことによって、より注文売上を増やしていきたいという狙いはあると思うが、このサービスのポイントはむしろ「下取り」する商品の方にある。つまり、「ZOZOUSED」で販売できるリユース(いわゆる中古)の商品を増やしたい、というわけだ。この「買い替え割」のサービスにより、「ZOZOTOWN⇒ZOZOUSED」のサイクルが活性化される。
なぜリユース品を増やしたいか、それは利益率がいいからだ。リユースビジネスを展開している方には釈迦に説法だが、リユースは「仕入値と売価」を店舗側が決めることができる。ブランドのアパレル商材の場合、仕入れ値と定価が決まった状態の販売になるが、リユースは極端にいえば「100円で買い取って、10,000円で販売する」ということができてしまうのだ。
ZOZOTOWNの場合、商品ごとの販売ページはすでにあるわけだから、「リユースもありますよ」とカートを加えれば商売が成り立つ。ZOZOTOWNで購入した商品だけを対象にしているのも、商品の管理がしやすいからというのもあると思う。難しいのが買い取り時点での商品の劣化状況なのだが、ある程度リスクは承知の上、利益率でカバーするのだろう。
Amazonがやっていないことを実現する会社
「ツケ払い」サービス、「買い替え割」サービス、さすが前澤社長!という感じなのだけど、本当にすごいのはAmazonがやっていないことを実現している点だと思う。楽天市場やYahoo!ショッピング、セブンアンドアイグループがAmazonと戦っているうちに、ZOZOTOWNは全く別の観点からEコマースの絶対的なポジションを築いてしまいそうですね。
おわり。
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