どこかを直せば、必ず新しい課題がでる。それを潰し続けることこそ「成長」【no.1167】
ゴルフを始めて半年。ボールがあっちにいったりこっちにいったり。一回、上手くいかなくなると、どうやって元どおりに戻せばいいのかわからなくなる。混乱する。もういいやっと思いっきり振ってみる。そうすると、なぜかすごくいい球が飛んだりする。もう一度、同じようにエイヤっとクラブを振ると、次のボールははるかあっちの方向に飛んでいく。
ゴルフとはわからないものだ・・、というかそもそも、「元どおり」とは何だ。自分は「元どおり」の自分のスイングを知っているのか。自分の「元」を知っているのか―――。どんなスポーツも、仕事も人生も、おそらく元になる軸がなければ、進歩というものがなくなってしまう。
ということで、知人に薦められた影響もあり、ゴルフのレッスンプロに習うことにしたわけだ。
「とりあえず、何球か打ってみて下さい」ということなので、パコンパコンと4球ほど打った。自分の中ではなかなかいい打感だ。こんなところでも、レッスンプロにさえ、見栄を張ってしまう自分がいる。「石田さん、あのね・・」。おもむろにレッスンプロが近づいてきていった。
「石田さんは、けっこういいんだけど、グリップと左足を直した方がいいね。グリップは右手がちょっと極端すぎるかな。こうやって掴むことに慣れてください。あと、左足。スイングするときに野球みたいに足を地面から離してしまう癖があるから、それを気をつけた方がいい。今日は、グリップと左足。それだけを徹底的に意識して振ってみて」
ということだったので、言われるがままにグリップと左足を気にしてスイングをする。めちゃくちゃ窮屈だ。いままでの半年分の「癖」が身についているわけだから、右手と左足を意識するだけですごく疲れる。そして、右手と左足を意識しすぎるがあまり、他の部分がめちゃくちゃになっている気がする。それでも同じことを繰り返す、繰り返す。
少しだけグリップに違和感がなくなってきた、左足も強引に地面にくっつけたままスイングができている。ただ、右腕の肘や、頭の位置や、左手首の使い方がいつもの違うのがわかる。バラバラの動きになっているような気がする。「なんとか少し慣れたんですけど・・他がまったくわからなくなっちゃって」。そういうと、レッスンプロは「それでいいんだよ」という。
グリップを直す。左足を地面から離さないようにする。それを意識して、そのふたつが完璧に直り。他に影響がでなければ最高だ。でも、そんな簡単にできるなら誰だってゴルフは上達している。どこかを直せば、必ずどこかに新しい課題がでる。今度は他の課題や新しい課題を直す。そうすると、またどこかに新しい課題が現れる。でも、ゴルフが上手くなるというのは、その課題を潰し続けることだというのだ。
―――だから、レッスンプロには継続的に、定期的に通わないと意味がないよ、と営業もされたわけだが、考え方はECMJのコンサルティングと一緒であるから、納得ができた。
人は粘土のようなものだ。事業も粘土のようなもの。Eコマースだって始めは粘土だ。粘土を潰したら、必ず粘土のどこかが突き出る。平べったくしたら面積が広がるし、太くしたら長さは短くなる。何かをほどこしたら、必ずどこかに新しい課題が出る。これを繰り返しながら、人もネットショップも育てていく。大切なのは、課題をずっと潰し続けること。きれいにみえる陶器も、出っ張ったり、引っ込んだりの集まりの結果だったりするのだ。
おわり。
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